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北朝鮮当局が、国内の主要な貿易会社と機関に対して、今月20日から税関を通じた公式貿易を認めると通知したことは、デイリーNKジャパンでも既報の通りだ。

最大の貿易都市である新義州(シニジュ)の近郊、首都・平壌の海の玄関口の南浦(ナムポ)港などに大規模な消毒施設が完成し、輸入品の安全性を担保できるようになったことによるものだろう。

(参考記事:北朝鮮、20日から1年3か月ぶりに貿易再開か

貿易再開に向けた動きが、国境付近で次々に捉えられている。新義州と対岸の中国・丹東の間を流れる鴨緑江には、しばらく姿を消していた北朝鮮の船舶が姿を表した。

中国のデイリーNK情報筋は、昨年1月の国境封鎖後、警備艇を除いて鴨緑江から姿を消していた北朝鮮の船が、太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)の翌日に現れたと伝えた。1隻は砂採取船で、川底から砂を採取する作業を行い、タグボート3隻が作業を行う様子も見られたとのことだ。

今月16日に1年数カ月ぶりに鴨緑江に姿を表した北朝鮮の砂採取船(撮影:デイリーNK)
今月16日に1年数カ月ぶりに鴨緑江に姿を表した北朝鮮の砂採取船(撮影:デイリーNK)

鴨緑江は川そのものが国境線として扱れており、対岸に接岸しない限りは相手国に入ったと見なされない。そのため国境封鎖下においても、ギリギリのところまで中国に近づけることから、新型コロナウイルスの国内流入を極度に恐れる北朝鮮当局により、船の運航が禁じられていたようだ。その解禁は、公式の貿易の再開に向けた兆しと捉え得る現象だ。

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ただ、肥料やビニール膜などの営農資材や緊急性の高い物品の輸入は、公式貿易の再開に先立って行われていた。

(参考記事:制裁違反物資を積んだ正体不明船、肥料満載して北朝鮮へ

さて今回、鴨緑江に1年数カ月ぶりに姿を表した砂採取船だが、コロナ前には夜間の密輸によく使われていたものだという。ただし、中朝両国の密輸取り締まりが今までになく強化されているため、当面の間、密輸は困難と見られている。

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一方、丹東の中心部から下流に3キロほど下ったところにある新鴨緑江大橋では、車両が移動する様子が捉えられた。その多くがトラックで、橋の東詰に建設予定の北朝鮮の税関施設に資材を運び入れているようだ。

老朽化した従来の鴨緑江大橋に代わる、中国と北朝鮮を結ぶ新たな橋として建設が進められてきた新鴨緑江大橋だが、2014年に完成後も、北朝鮮側の施設の未整備により、開通が遅れていた。一昨年9月に工事が再開されたものの、コロナで工事が中断していた模様だ。

(参考記事:建設中断の北朝鮮と中国を結ぶ橋、今年9月に工事再開

これ以外にも、営農資材や工業生産の資材を積んだ貨物列車が先月、北朝鮮に入国したとの話もあり、物と人の行き来の再開に向けた動きが進みつつある。前述の情報筋は、中国の貿易業者も、北朝鮮から注文を受けた品物を確保し、公式の貿易が再開され次第、北朝鮮に送り込むと述べたと伝えている。