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昨年1月のコロナ鎖国以降、中国からの輸入が激減したことで、北朝鮮の物価は高騰を続け、庶民を極度の生活苦に追いやっていた。

当局は、有事に備えて備蓄していた食糧を放出するなどして、物価を人為的に下げる取り組みを行っていたが、効果は一時的で、しばらくすればまた上がるという悪循環を繰り返してきた。

(参考記事:「金正恩の首都」が飢え始めた…軍の備蓄放出でも足りない食糧

ところが、国内の一部地域で出たある噂がきっかけになり、物価が下落傾向にあると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

国内有数の巨大市場、清津(チョンジン)の水南(スナム)市場で、情報筋が1キロあたりの価格を調べたところ、4500北朝鮮ウォン(約72円)で売られていたコメが、18日に4050北朝鮮ウォン(約65円)に、トウモロコシは2800北朝鮮ウォン(約45円)から2300北朝鮮ウォン(約37円)に値下がりした。

また、食用油は3万2500北朝鮮ウォン(約520円)だったのが2万8000北朝鮮ウォン(約448円)に、砂糖も4万8000北朝鮮ウォン(約768円)から4万5000北朝鮮ウォン(約720円)に値下がりした。

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中には、半分近く値を下げているものもある。例えば大豆は8000北朝鮮ウォン(約128円)から4800北朝鮮ウォン(約77円)に、ハタハタは2000北朝鮮ウォン(約32円)から1150北朝鮮ウォン(約18円)に、ホッケは4000北朝鮮ウォン(約64円)から2450北朝鮮ウォン(約40円)に値下がりした。

物価下落の原因について、情報筋は「当局が『限度価格』を再設定する」との噂を挙げた。

「国はまもなく価格を定めてくるだろうが、それは今の市場販売価格よりずっと低い。それ以上の値段で売れば(品物を)押収されるらしい」(情報筋)

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そんな噂が今月10日ごろから市場で出回るようになり、その翌日から物価が下落を始めたという。国の決めた不当に安い「限度価格」での販売を強いられ、損をするのなら、今のうちに儲けが出る範囲内で値下げして、品物を売り払おうということだ。

朝鮮労働党第8回大会を控えた昨年12月には、高値でコメを売ろうとする商人を逮捕し、コメを没収することで価格を無理やり下げた事例もあり、噂が信憑性を持って語られるベースとなっているようだ。

(参考記事:コメ商人を片っ端から逮捕…物価高騰の北朝鮮

ただ、コロナ鎖国による経済難で、価格を下げても商品はあまり売れないのが実情のようだ。

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「1日3回食事を取る人はもはやほとんどいない。食べる量を減らしてこの自体を乗り切ろうという話がよく聞こえる」(情報筋)

金正恩総書記は、市場に対する統制をできるだけ行わない政策をとってきたが、ここ最近は、国家主導型の経済への移行を進めつつある。その一環が、市場に対する締め付けと思われる。しかし、「上に政策あれば下に対策あり」のお国柄だけあり、商人は新たな手法を編み出し、国の締め付けを骨抜きにするのは時間の問題だろう。

(参考記事:警察相手に大立ち回りを演じた北朝鮮の「レザーの女王」