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全世界190あまりの国のうち、161カ国と国交を持つ北朝鮮。そのうち、北朝鮮国内に大使館、領事館を置いているのは25カ国だ。

そのひとつであるロシアのマツェゴラ大使は、インターファクス通信とのインタビューで、北朝鮮当局の厳しい新型コロナウイルス対策を受け、多くの大使館が最低限の人員だけ残して実質的に撤収し、優遇されている外国人と言えども物資不足に苛まれている実情を語った。

(参考記事:駐北朝鮮ロシア大使、コロナ鎖国下での生活を語る

一方、駐北朝鮮チェコ大使館の関係者も、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに答え、新型コロナの流入防止のため国境が封鎖された「コロナ鎖国」下での生活状況について答えた。

米中央情報局(CIA)は2019年のワールドファクトブックで、北朝鮮国民のうち電気を使えるのは26%だとの分析を明らかにした。RFAによると、チェコ大使館関係者はこの推定値について「妥当だと思う」と答えた。ちなみにCIAは、全国平均が26%で都市部は36%、農漁村は11%だとしている。

チェコ大使館関係者によれば、電気が使える地域でも停電がしばしば起きており、大使館のある地域でも最近停電となったと述べている。その原因についてこの関係者は、地域ごとに異なるとしつつ、電柱が常に問題を抱えていることを挙げた。電力設備の老朽化が、頻繁な停電の一因になっているということだ。

(参考記事:「金正恩ニュース」の時間帯に停電、発電所員ら絶体絶命

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また、平壌では市内の多くの家庭が小型ソーラーパネルとバッテリーを所有しており、夜間に電気のついている家の数から推測すると、その数は3分の1から半分程度になるとの見方を示した。

ちなみに、同じ平壌市でも中心部にある6区域は「30号対象」、残りの14の区域と郡は「410号対象」と呼ばれ、居住許可、配給などの面で差をつけられている。チェコ大使館のある地域は、その境界線に近いことから、「3分の1から半分程度」という推測値は平壌市内の平均値に近いと言えるかもしれない。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】「国が電気を供給してくれていた時代に未練はない」

大使館関係者は、「コロナ鎖国」下の物資不足について述べたロシア大使の発言について、「完全に真実だ」とし、輸入の中断により、この数カ月間砂糖と食用油は全く見かけていないと証言した。また、チョコレート、コーヒー、スナック菓子、歯磨き粉など、北朝鮮国内では「準贅沢品」にあたる商品も姿を消したとのことだ。

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外国人も利用可能な市内の統一市場で売られている野菜、果物は国内産で、値段は昨秋と比べて若干上がっているとしつつ、輸入製品、例えば小さい瓶入りのインスタントコーヒーが30ドル(約3140円)以上、シャンプーやボディーソープが50ドル(約5230円)、中国製のスコッチウイスキーが10ドル(約1050円)など、コロナ鎖国以前と比べて大きく値上がりしたとも述べた。

北朝鮮は、これらの代替品を国内生産しているが、質が非常に悪いとも語っている。

チェコ大使館関係者は、平壌の現状を、国が1年間国境を封鎖した場合に発生が予想されるあらゆる問題が起きていると表現し、国際郵便と送金が使えなくなって現金が不足したことを、各国の外交公館の活動停止・一時撤収の一因だと説明した。

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ただしこの関係者は、平壌の外の状況についてはわからないとしている。外国人の市外への移動が禁じられているためだろう。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】突然のロックダウンで生活困窮、餓死者も

ちなみに駐北朝鮮チェコ大使館はホームページで、北朝鮮在住の自国民への告知として、外国人の北朝鮮入国は例外なく認められないが、もし万が一入国した場合は北朝鮮当局の指定する施設で30日間隔離されることになり、入国のための交通手段は昨年2月1日にすべて運行停止し、ワクチン普及まで復旧されないなどとしている。