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2016年の70日戦闘と200日戦闘、それに続いて始まった1000日戦闘、そして最近まで行われた80日戦闘と、北朝鮮では戦闘が続いている。もちろん、戦争を行っているわけではない。

軍事優先国家の北朝鮮では、様々な軍事用語が使われ、カンパニア(キャンペーン)の名称として「○○戦闘」が使われる。5日から開催されている朝鮮労働党第8回大会で、「○○工場では計画を何百%超過達成した」などと言った形で示すための成果を無理やり作り出すために、人々をこき使うのである。

特に2020年は、以前からの制裁や、毎年繰り返される自然災害に加え、新型コロナウイルスの脅威に見舞われる三重苦で、国も人々も疲弊しきっている状況に活を入れるという意味合いもあると思われる。

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しかし、80日戦闘は三重苦を四重苦にしたに過ぎない。そんな現状を、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

平安南道人民委員会(道庁)労働局の集計によると、80日戦闘の始まった10月初め以降、道内では労働者275人が死亡した。その87%は、国家建設の現場や鉱山で働く労働者だ。

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主な理由としては安全設備が備えられていないことが挙げられる。現地の関係者たちは投資が足りていないと口を合わせる。成果をできるだけ多く、速く達成することが優先する「速度戦」が当たり前のようになっていて、労働者の安全など二の次三の次。とてつもない規模の死亡事故が何度も起きている。

(参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

金正恩党委員長は、「建設においては一にも二にも質の保証に優先的な関心を置くべき」などと述べ、行き過ぎた速度戦を戒めるような発言をしているが、一方で、今回のような大増産運動を繰り返しており、国民に伝えるメッセージに一貫性がない。

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次に挙げられた理由は、労働者に充分な食事が提供されていない点だ。旧日本軍同様、北朝鮮は補給を無視する傾向が強く、以前から建設現場に動員された兵士や労働者に満足な食事を提供していなかったが、特に今年はコロナ対策で貿易が停止され、中国から肥料が輸入されなくなったことで、食糧事情が悪化。

栄養状態が悪く足元がおぼつかない中、危険な作業をさせられれば、事故が多発するのは当然の結果だろう。

(参考記事:灼熱の溶鉱炉で5人死亡…金正恩「80日間戦闘」の残酷な実態