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中国の、北朝鮮と国境を接する地域には、同国から派遣される安い労働力を使った労働集約型の工場が多数存在する。その代表格と言える地域が遼寧省の丹東で、市内には数多くのアパレル工場がある。

国連安全保障理事会は2017年の制裁決議で、国連加盟国に対し、自国内にいる北朝鮮の労働者を2019年末までに出国させることを義務付けた。それにより、このようなビジネスモデルは終焉を迎えたはずだが、様々な形で制裁を逃れ、未だに続いている。

問題は、資金が北朝鮮に流れ込むことだけではない。工場における労働条件の劣悪さも深刻だ。

中国のデイリーNK情報筋によると、丹東市内のアパレル工場が盛んに稼働し、そのほとんどが冬服の製造を行っているが、コロナ感染が落ち着いている最中の「リベンジ消費」のおかげか、注文が殺到し、北朝鮮労働者はほとんど夜通しで作業を続けている。

工場ごとに差はあるが、大抵は午前4時~6時に出勤し、午後10時~11時まで最長で16時間働くという「超」のつく長時間労働だ。

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「北朝鮮の労働者はほとんどが20代と若く、殺到する作業量にも耐えている。今のところは大きな事故はなく、倒れた人もいない」(情報筋)

しかしこれでは、事故の発生は時間の問題だろう。

全世界がコロナの第一波に苦しめられていた今年春、この地域の工場の一部では防護服の生産が行われていたが、北朝鮮労働者が1日18時間の長時間労働に苦しめられていた。

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(参考記事:中国ブラック企業の北朝鮮労働者が支える世界の防護服供給

このときも世界中から殺到する防護服の注文をこなすために、コロナ禍で廃業寸前に追い込まれていた各企業が、労働者に無理な仕事をさせていたが、そういう状況は今も変わっていないようだ。各企業は、このような多忙な状況がさらに2ヶ月続くと見ており、製造された衣類は世界各国に輸出される。世界のアパレル業の底辺を、北朝鮮労働者が支えている構図があるのだ。

(参考記事:制裁破りの北朝鮮アパレル加工、コロナ対策で「真の端境期に」

無理な長時間労働を強いているのは企業側だけではない。北朝鮮労働者を中国企業に派遣している北朝鮮の貿易会社の担当者は、毎四半期、与えられた外貨稼ぎのノルマを達成しなければならない。コロナ禍で工場やレストランが閉まっていた期間中にも、上からはプレッシャーをかけられ続け、担当者は頭を抱えていたが、それが挽回できるとあって熱心に「営業」に駆け回っているというわけだ。

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労働者の受け取る月給は2500元(約3万9400円)から3000元(約4万3700円)で、半分を北朝鮮当局に上納させられるが、それでも北朝鮮国内の一般労働者には到底稼ぐことのできない額だ。ちなみに丹東市の最低賃金(月給)は、市内中心部で1810元(約2万8600円)、郊外で1300元(約20500円)だ。

労働者も海外に派遣されるために、選抜担当者らに渡すワイロなど、それなりの費用を投じている。家族、親戚、知人から借金をしている場合もあり、長時間労働をいとわないのかもしれない。

短期滞在が可能なノービザ制度、「技能実習生」制度などを利用し、あくまでも労働者扱いにならないようにして、北朝鮮労働者の雇用を禁じた国連安全保障理事会の制裁決議から逃れている。それだけに、立場は不安定だ。さらに、今働いている労働者も、制裁のため契約の延長が行われない予定であることも、労働者が自らブラック労働に身を投じる背景となっている。

(参考記事:「撮影厳禁」北朝鮮 ”美貌のウェイトレス”たちの欲求不満な日々