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北朝鮮にはまもなく長い冬が到来する。国営の朝鮮中央テレビの予報では、26日の最低気温が白頭山密営氷点下6度、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)氷点下4度など、北部山間地を中心に氷点下の寒さとなっている。

北朝鮮の人々の人気を集めるのはサウナだ。首都・平壌のみならず、地方の各市、郡には恩徳院と呼ばれる国営のサウナがあり、トンジュ(金主、新興富裕層)が経営するサウナも多数存在する。

一般人が気軽に利用できる宿泊施設のない北朝鮮では、サウナが売春や不倫の場として使われており、様々な「事故」も起きているが、今回は本来の意味の事故が起きてしまった。

(参考記事:金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、事故が起きたのは、道内の延社(ヨンサ)郡の中心部にあるサウナでのことだ。両江道に接し、海抜500メートルを越える高地にある延社には、他より早く冬が到来、多くの客がサウナを訪れていた。

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10月中旬のある日の午後、サウナのボイラー技士は、焚き口に湿らせた石炭を投入する作業を行っていた。作業を終えても、石炭がきちんと燃焼しているか確認をしなければならないが、この技士はあろうことか、ボイラーをほったらかして酒を飲みに行ってしまったのだ。

娯楽の少ない北朝鮮、それも田舎ともなると、酒を飲んで歌ったり騒いだりすることくらいしか憂さ晴らしの手段がない。そのため酒の上での様々な事故が起きており、当局は無分別な飲酒を諌めるキャンペーンを行っているが、あまり効果はないようだ。

(参考記事:酒に酔い「禁じられたひと言」で逮捕された北朝鮮の秘密警察

見守る者のいないボイラーでは、石炭が不完全燃焼を起こしていた。もうもうと立ち上った煙は、壁の隙間からサウナに入っていった。

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サウナの管理者は、浴室に入った客が出てこないのを不審に思い、様子を見に中に入ったところ、中で多くの客が倒れているのを目撃した。一酸化炭素中毒を起こしたのだった。彼は他の客に声をかけ、大急ぎで倒れている客を外に担ぎ出し、救急車が来るまでの間に人工呼吸を行った。

救命措置の甲斐なく、延社郡人民病院に搬送された人のうち、11人が死亡した。また、6人が高気圧酸素治療を受けているが、依然として予断を許さない状況だという。突如して家族を失った遺族は、悲しみのあまりに泣き叫んでいる。

延社郡安全部(警察署)のは、サウナに対する検閲(調査)を行っており、ボイラーをほったらかして酒を飲みに行ったボイラー技士とサウナの責任者には重罰が下されるものと見られている。

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安全部は、郡内の工場、企業所、人民班(町内会)を通じて、「80日戦闘の期間中にはどうか事故を出さないようにしよう」とガス中毒を未然に防ぐための警備の強化を訴えた。

北朝鮮では、オンドル(床暖房)用の燃料として石炭が多く使われているが、一酸化炭素中毒による死亡事故が後をたたない。そのため、人民班(町内会)では毎年冬、「焦げ臭い匂い取り締まり班」を作り見回りを行っている。玄関をノックして返事があるかどうかを確認し、なければ鍵をこじ開けて室内の様子を確認するというものだ。

(参考記事:「眠っているうちに」死者数万人、北朝鮮庶民が震える「冬の夜の恐怖」