金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

北朝鮮「アブナイ男女の文化」(1)

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北朝鮮で昨年11月、軍の平壌高射砲司令部の政治委員が公開銃殺された件については、本欄でも伝えた。政治委員の罪状は朝鮮労働党に対する不服従に加え、「私生活の乱れ」というものだったという。

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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、政治委員の罪名のひとつである「私生活の乱れ」は、具体的には2人の愛人を囲って贅沢三昧をしていたということらしい。これに対しては軍幹部の間から、「果たして銃殺までする必要があったのか」「やりすぎじゃないのか」との声が上がっていると、RFAは伝えている。

確かに現在の北朝鮮においては、権力者が愛人を囲うのは「当たり前」のこととなっている。

たとえば、北朝鮮には、国営や民営のサウナがあり、場所によってはそこそこ繁盛しているようだ。

ただ、利用しているのはもっぱら富裕層で、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の間ではカネに物を言わせ、家族でなければ利用できないVIPルームを愛人との逢瀬に利用する「サウナ不倫」が流行っているという。

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これは庶民から強い批判を浴びているとされるが、それはこうした行為が横行していることの証左でもある。そして当局も、こうした行為をいちいち取り締まったりはしていない。

幹部が粛清された際には、それが正当な処分であることを強調するため、女性がらみの醜聞が暴露されることはある。2013年12月に金正恩朝鮮労働党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長が処刑された際には、それがとくに顕著だった。

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しかし、愛人と付き合う行為そのものが処罰の対象、しかも銃殺にまで至るというのは珍しい。

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脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏の近著『平壌資本主義百科全書』によれば、平壌の高級レストランでは髪を金色に染め、ミニスカートにブランド物で着飾った若い女性の姿が頻繁に見られるという。同著で証言している平壌の富裕層の男性によれば、彼女らの大部分は音大生や歌手の候補生であり「ダンナ作業」――つまりは金持ち男性のスポンサー探しにやってきているのだという。

このような社会の現状と照らし合わせたとき、冒頭で触れた公開銃殺の件は異常と言えば異常だ。公にされたのとは別に、政治委員を殺さなければならない、何か別の事情でもあったのだろうか。あるいは金正恩氏は、社会の統制を強めるため、富裕層の「特権」と化してきた一種の不倫文化を取り締まりの対象にしようとしているのだろうか。もしそうならば、富裕層が当たり前のように楽しんできた「不倫文化」も、今後は命がけの「危険な文化」になる可能性がある。

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