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DMZではこの頃、北朝鮮の兵士が徒歩で南側に入り、亡命するなどの出来事が相次いでいた。それにまったく気付かない韓国軍の警備の欠陥が指摘されていた一方、北朝鮮側の士気の緩みにも深刻なものがうかがえた。そうしたこともあり、韓国側では当初、北朝鮮側の動きについて、兵士の脱北防止のために地雷を埋設しているものと見ていたのだ。それにそもそも、誰かがいつ、接触するかどうかもわからない地雷が、軍事挑発の手段として効果的と言えるだろうか。

北朝鮮側の目には、これを挑発だと強弁して報復に出た韓国側の動きこそが、挑発に映ったかもしれない。一方、韓国側とて、この機を捉えて戦争に打って出る計画など持っているはずもなかった。2010年に起きた韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件と韓国領である延坪島への砲撃事件に際し、当時の李明博政権は、すでに核実験を強行していた北朝鮮に対して軍事報復に出ることができなかった。

ただ、その際に「手ぬるい」との批判が噴出した教訓から、朴槿恵政権は2015年8月の危機に際し、一貫して強い姿勢を取り続けた。朴槿恵氏の支持率は上昇し、それがまた政権の強硬姿勢に拍車をかけた。軍は、兵士の身体の一部が地雷で吹き飛ばされる様子を収めた監視カメラ映像を公開するなどし、韓国社会では「絶対に譲歩するな」との声が高まった。

(参考記事:【動画】吹き飛ぶ韓国軍兵士…北朝鮮の地雷が爆発する瞬間

北朝鮮もまた、メディアを総動員して韓国を非難する一方、多数の潜水艦を一斉に出向させるなどして、強硬姿勢をアピールした。8月15日の「祖国解放(日本統治からの解放)70周年」記念行事に、李永吉(リ・ヨンギル)軍総参謀長(当時)と金英哲(キム・ヨンチョル)偵察総局長(同)が姿を見せず、司令部で臨戦態勢に入ったとの観測情報も流れた。

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しかし結局、先に折れたのは北朝鮮だった。