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北朝鮮の金正恩党委員長は10日、朝鮮労働党創立75周年を記念した閲兵式で演説し、次のように誇った。

「わずか5年前、まさにこの場で行われた党創立70周年慶祝閲兵式と比べてみると、誰もがよく分かるでしょうが、われわれの軍事力の近代性は大きく変わり、その発展速度は誰もが容易に推しはかることができるでしょう」

こう語ったとき、金正恩氏の胸中はさぞや深い感慨で満たされていたに違いない。5年前、すなわち2015年の8月、朝鮮半島は戦争の危機を経験した。同月4日、北朝鮮が非武装地帯(DMZ)に仕掛けた対人地雷に韓国軍兵士が接触、身体の一部を吹き飛ばされ瀕死の重傷を負った。

膝を屈した北朝鮮

これに北からの軍事挑発だと非難した韓国軍は報復として、それまで中断していた拡声器放送による対北心理戦を再開。北側が再報復として拡声器を砲撃したことで軍事的緊張がエスカレートし、大規模な軍事衝突に発展する可能性が高まった。

当時、北朝鮮の体制崩壊は近いとの見方に傾いていた朴槿恵政権は、2014年7月14日に統一準備委員会を発足させていた。朴槿恵氏は同委員会設置の目的について「朝鮮半島の統一を準備し南北間の対話と民間交流の幅を広げていく」と説明していたが、実際には金正恩体制の崩壊時に素早く北を飲み込む方策を練っていた。同委員会の鄭鍾旭(チョン・ジョンウク)副委員長が2015年3月10日、韓国プレスセンターが主催したフォーラムで、「南北間の合意による統一だけでなく、南北間の合意によらない他の形の統一も準備している」と述べると、北朝鮮は激しく反発した。

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韓国にこうした動きが見える中、北朝鮮は8月の軍事危機に際して相当な緊張を強いられた可能性が高い。

臨戦態勢に突入

実際のところ、危機の端緒となった地雷爆発を、北朝鮮による計画的な挑発と見るのは難しい。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は同年4月から、DMZで不審な動きを見せていた。軍事境界線の西部から東部までにわたり、5人~20人単位で近接偵察を兼ねて何らかの作業を繰り返していたのだ。