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北朝鮮の社会主義憲法には次のような項目がある。

朝鮮民主主義人民共和国において生産手段は国家と社会協同団体が所有する。

この生産手段とは、生産物を生み出すに必要な土地と資本、つまり、機械や工場などのことだが、これらは国や機関、工場、企業所が所有するものであり、国民個人の所有は認められていない。

そこに車両も含まれるが、リアカー、自転車の個人所有は可能である反面、オートバイはグレーゾーン、乗用車やトラックは不可となっている。しかし、そこは「上に政策あれば下に対策あり」のお国柄だけあって、抜け道がある。

個人が車を所有するには、自身で購入した上で、機関、工場、企業所にワイロを支払い、それらの名前で登録してもらう形を取る。つまり「名義貸し」だ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、先月12日からこれらに対する取り締まりを強化するとの指示がくだされたと伝えている。

当局は、このような名義貸しによる個人所有の車が増えたことを「社会主義にそぐわない現象」として問題視し、社会安全省(警察庁、前の人民保安省)に常務(取り締まり班)を立ち上げさせ、今後2ヶ月に渡って取り締まりを行わせることにした。

具体的には、保衛部(秘密警察)管轄の10号哨所(検問所)で、車の出どころなどを問いただし、違法と判断すれば没収する。名義貸しをした機関、工場、企業所の責任者と、組織内の朝鮮労働党の責任者を道党(朝鮮労働党の各道の委員会)に呼び出し、今後は名義貸しを行わないように教育する。

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今回の指示を受けて、機関、工場、企業所は頭を抱えている。

「機関、企業所は車を登録してあげて、8.3計画だと言って押し切り、個人からカネを受け取り、管理費用(予算)として使ったり、国家建設の支援費用として活用したりしてきた」(情報筋)

このような名義貸しは車に限ったことではない。例えば、北朝鮮や食堂や店舗の看板には、行政機関や企業所の名前が入っていることがあるが、これも名義貸しの一種で、店主は税金代わりの使用料やワイロを払うことで安定した営業ができ、機関や企業所も収入が得られるという仕組みだ。

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また、店舗を営もうとする人に不動産を貸し出すケース、製品を生産しようとする人に工場の有休設備を貸し出すケースもある。これらすべてができないとなれば、機関、工場、企業所は収入の多くを絶たれてしまうのだ。

(参考記事:北朝鮮で「民間企業」が年々増加…「食堂の3分の2は民間経営」

一方で、車を所有している人へのダメージはさらに大きい。

「個人の車でカネ儲けをする人々の間では『頑張って車を買って商売を始めたら、政府がまたひどいことをやりだした』『この国ではどんな仕事をして生きていけばいいのかわからない』と不満の声が上がっている」(情報筋)

北朝鮮では、正式に運転免許を取るには半年も学校に通わなければならず、多くの人がワイロで済ませてしまう。車の購入、登録にもかなりの投資が必要だ。

こうした車は「ソビ車」として営業を行う。ソビ車とは「サービス」と「車」を組み合わせた言葉で、短距離、遠距離問わず走るタクシーであったり、重い荷物を預かる運送屋の仕事もする。そのための投資が全部パーになってしまうのだから、ドライバーが怒るのも当然だろう。

(参考記事:北朝鮮のオヤジは「タクシー運転手」が夢の職業

運悪く車を没収されてしまったドライバーには気の毒だが、いくら取り締まりをしたところで、ほとぼりが冷めれば元の木阿弥となるだろう。お上は不正行為だからという理由で取り締まりを行うが、市場というものを理解していないのか、輸送の需要を満たす合法的な供給を行わない。

今までも「車の急増で交通事故が多発している」などの理由で、取り締まりが行われてきたが、しばらくすると元通りになることを繰り返している。「お前らが生きるも死ぬも、われわれのさじ加減ひとつにかかっている、あまり派手にやるな」というメッセージを与えるか、取り締まりをネタにワイロをせびるか――それくらいの意味しかないのだ。

(参考記事:北朝鮮、車両のナンバープレートを一斉更新…背景に不正の横行

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