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北朝鮮当局は今年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐため、国境を封鎖し、貿易を停止する措置を取った。

工業製品の多くを中国に依存する北朝鮮に、中国から物が入ってこなくなれば当然のことながら物価は跳ね上がる。庶民の反発を恐れた当局は、価格の統制に乗り出したが、さほど効果はなかったようだ。

また、このチャンスを狙って密輸を企てる者が続出した。中には、1000トンもの大豆油を密輸しようとして摘発された事例もある。

(参考記事:コロナ禍の北朝鮮で「大豆油」数万人分の密輸を企てた女傑

さらに、不要不急の商品の輸入を制限するとする政府の方針が、物価高騰に拍車をかけた。

(参考記事:北朝鮮で続く物価高騰、きっかけは政府発表

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ところが、今月に入ってからは物価が下落傾向にあると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)の情報筋は、先月末には9万5000北朝鮮ウォン(約1140円)で売られていた中国製の食用油(4.8キロ)の価格が、今月に入ってから5万6000北朝鮮ウォン(約670円)まで暴落したと伝えた。

首都・平壌郊外にある平城は、北朝鮮随一の卸売市場を抱える流通の要衝だ。ここでの取引価格の変動は時間差で全国に波及することから、食用油を含めた中国製品の価格は、全国的に下落傾向にあるものと推測される。

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一方の為替レートだが、一時は1ドル(約107円)8500北朝鮮ウォン近くまで上昇していたのが、当局の介入により先月には7500北朝鮮ウォン以下に落ち着いた。ところがRFAの情報筋によると、先月末には8010北朝鮮ウォン、そして今月に入っては8600北朝鮮ウォンで、大幅なウォン安となり、その傾向は、平城や平壌だけでなく、全国的なものとなっている。

その理由は、中断されていた中朝貿易が今月中旬以降に再開するという噂が広がったためだ。

貿易が再開されるとなれば、外貨が必要となる。北朝鮮の業者は「ツケ」での販売を要求し、踏み倒すことを繰り返しているため信用が低い。中国の業者は代金の先払いを要求するため、現金を積まなければ品物を売ってもらえないのだ。

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その兆しを素早くキャッチしたヤミ両替商は、為替差益で儲けようと一斉にドル買いを進めている。

北朝鮮当局は今年4月、深刻な財政難の打開のために、17年ぶりとなる公債を発行し、その一部はトンジュ(金主、新興富裕層)や幹部に半ば強引に外貨で購入させている。同時に、国内での外貨使用を禁じ、ヤミ両替商に対する厳しい取り締まりを行っている。

トンジュが所有する外貨の量は、当局の保有分を圧倒すると言われており、為替市場は当局がいくら頑張ってもコントロールしきれないようだ。

(参考記事:「工作員の妻」が営むヤミ両替商を北朝鮮秘密警察が摘発