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国連安全保障理事会の制裁決議に基づき、すべての国連加盟国は、北朝鮮国籍者の労働者としての受け入れができなくなっている。しかし、中国では雇用が続けられ、新規の受け入れも行われている。

北朝鮮当局は最近、中国に派遣されている労働者の滞在期間を当面の間延長せよとの指示を下した。新型コロナウイルスの影響で国境が封鎖され、労働者の出入国が円滑にできない状態であることが理由と思われる。

中国のデイリーNKの情報筋は、北京駐在の北朝鮮大使館が、各地の貿易関係者や労働者を管理する幹部に、遼寧省、吉林省などのレストランや工場で働いている労働者の滞在期限が延長する方針を伝達したと伝えた。

「ほとんどのわが国(北朝鮮)の人は今回の決定を大いに喜んでいる」と伝えた。中国にいるある幹部は、その理由について「(新型コロナ)ウイルスのせいで(店や工場の)営業が中断し、儲けそこねた分の穴埋めができるようになったから」と説明した。

北朝鮮当局は4月19日、中国国内の北朝鮮レストランに対して営業再開を命じており、一部の店はすでに営業を行っている。しかし、中国人客の腰は重く、かつてのような賑わいを取り戻せていない。

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また、工場の状況も芳しくない。アパレル工場は、マスクと防護服の製造で正常稼働しているが、それ以外の工場は中国の内需の勢いが復活していないため、稼働の正常化には至っていない。

ただし、今回の措置により労働者の滞在期間が保証されたことで、技能実習生のビザやノービザ制度を悪用して中国に入国した労働者が、突然帰国を余儀なくされるという懸念はある程度軽減された。

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北朝鮮当局は、自国内の工場に所属する労働者がより高い技術を学ぶために、外部の学校や機関で学習する「技術学習生」――技能実習制度を使って、労働者を中国国内の北朝鮮レストランや工場に派遣している。また、渡江証や訪問証と呼ばれるノービザ滞在ができる臨時のパスポートを労働者に持たせて派遣する手法も取られている。

(参考記事:中国に「なんちゃって労働者」を大量に送り込む北朝鮮の制裁破り

中国の別の情報筋は、北朝鮮当局が、労働者が仕事に復帰した4月初めから「党資金(忠誠の資金)を上納せよ」との指示を下したと伝えている。当局は、春節の前にも上納金を繰り上げて納入せよとの指示を下すなど、矢継ぎ早に「金の無心」をしている。

その一方で当局は、商品の輸入制限を今年いっぱい続ける方針を示している。中国に駐在する北朝鮮の貿易会社は、中国製品を輸入してこそ儲けが得られ、上納金も納められるというのに、「貿易はするな、上納金は払え」とする命令に大きく失望している。

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中国で活動するある貿易関係者は「来月から貿易(中止)が解除されると期待していたのに、生活必需品だけ輸入するという輸入品目制限が決められ、雰囲気が悪い」と述べた。このままでは密輸が萎縮し「国内の物価も大幅に上がるだろう」とこの関係者は見ている。

北朝鮮国内ではすでに物価が上昇し、一部では買い占めが起きていると伝えられている。

(参考記事:平壌で「買い占め」発生…金正恩氏の不在中に混乱広がる