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米農務省の海外農業局が先月発表した報告書によると、北朝鮮の昨年の穀物生産量は485万2000トンで、一昨年と比べ12%減少した。また、国連世界食糧計画(WFP)の報告書によると、昨年の小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、コメなどの作物の収穫量は例年の平均以下だった。

国際社会の制裁に加え、相次ぐ自然災害で不作が続く北朝鮮だが、その対策として打ち出してきたのは、どういうわけか思想学習だった。

平壌のデイリーNK内部情報筋は、今月6日に、全国の道や農村経営委員会に対して「2014年2月6日組分長大会で発表された元帥様(金正恩党委員長)の労作(最高指導者の論文)単行本の学習を行え」との指示が下されたと伝えた。

分組長大会とは、全国の協同農場の分組(作業班の下にある、15人程度からなる作業チーム)の長を集めて行った全国農業部門分組長大会のことだが、金正恩氏はこの大会に「社会主義農村テーゼの旗を高く掲げて、農業生産に革新を起こそう」という書簡を送った。

その内容は「われわれが強く豊かになることを望まない帝国主義者どもは、わが国(北朝鮮)に対する圧力と経済制裁を強化し、わが人民に食糧難をもたらし、彼らの心の中から社会主義に対する信念を崩そうと卑劣にも策動している」と、食糧問題の責任を外部に転嫁した上で、「われわれはいかにしても農業をうまくやり、人民の食糧問題、食の問題を円満に解決し、敵どもの反共和国、反社会主義策動を叩き潰さなければならない」というものだ。

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その具体案とは、

◯わが国の地理、気象などの条件に合っているチュチェ(主体)農法通りにやれ
◯早く育ち日照りや災害、病害虫に強い種を作れ
◯地方の気象条件や実情に合わせてイネ、とうもろこし、じゃがいもなど選べ

などと言ったものだ。

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今月7日から、平壌周辺の農場の作業班、分組では農民が参加し、この書簡の学習が始まっている。当局は、2月16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)に前後して、全国の農場でこの学習を進める計画だとのことだ。

しかし、現場は不満たらたらで、やる気は全くないようだ。

今は農閑期とは言え、春に向けて農作業の準備に忙しい時期なのに、本来は週1回の思想学習の時間を毎日に増やして、午後5時から30分に渡って討論が行われている。書簡の内容と労働党の農業科学に関する方針に合わせて実質的に何をすべきかというのがテーマだ。これが4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)まで続くという。

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その後1時間は、農業科学技術学習が行われる。本来なら、農場管理委員会の技術指導員の話を聞き、筆記するというものだが、今回は技術指導員が制作した動画を見る形に変わった。

ただでさえ忙しい時期に学習を押し付けられた農民に筆記などをやらせると、反発を食らうからというのがその理由だ。動画を見て討論するだけでいいという。毎日1時間半も行われる学習だが、居眠りをする人が続出しているという。

居眠りをしても出席するだけまだマシだ。一昨年、平安南道(ピョンアンナムド)順川(スンチョン)のある協同農場で行われた政治講演会は出席率が2割にも満たず、参加した人も話を聞かずにお喋りに夢中になっていたという。

(参考記事:北朝鮮の思想教育、出席率悪すぎで関係者やきもき

そもそもチュチェ農法とは、農業の専門家でもない金日成氏が下したデタラメな指示の集大成だが、「遺訓統治」が国是の北朝鮮で、いくら金正恩氏と言えども祖父の政策に真っ向から反することを言うのは困難だ。

(参考記事:金日成氏のデタラメな指示に歯向かった農場支配人の悲惨な運命

農業の門外漢なのにデタラメな指示を出し続け、無理な農業集団化を進め、数百万もの人を餓死に至らしめた点では、中国の毛沢東主席も同じだが、中国はいち早く協同農場にあたる人民公社を廃止した。一方で北朝鮮は、今に至るまで協同農場に固執し続けている。

構造的な原因に手を付けずに小手先ばかりの改革もどきを続け、意味のない思想学習や討論を続けている限り、北朝鮮の農業問題が解決することはないだろう。

(参考記事:北朝鮮で始まった「農業不振の犯人探し」討論会

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