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北朝鮮では、国家主導の計画経済システムが崩壊した1990年代後半の食糧危機「苦難の行軍」以降、民間人が経済の主導権を握るようになった。それを国家が取り戻そうとする動きはあったが、いずれも失敗に終わっている。

ところが、ここへ来て再びそのような動きが活発化しつつあるようだ。

北朝鮮の内閣などの総合機関紙・民主朝鮮は今月3日、最高人民会議常任委員会が最近、社会主義商業法の1か条と便宜奉仕(サービス)法の3か条を修正、補充したと報じた。同紙は今回の法改正について「国の商業政策を徹底して執行し、便宜奉仕網を合理的に組織して、増加する便宜奉仕の需要を満たせる法的担保が用意された」と評価したが、その具体的な内容には触れなかった。

デイリーNKの取材の結果、改正社会主義商業法には、市場の運営だけでなく、市場価格の規制遵守に関する内容が含まれていることがわかった。平壌のデイリーNK内部情報筋は「中央から地方までの各経済監督機関が市場の管理と運営を指導し、市場で取引される商品の価格はもちろん、市場使用料の規定に従わなければならないという内容が追加された」と述べた。

改正前の社会主義商業法の86条は次のように定めている。

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第86条(市場の管理運営)
中央商業指導機関と地方政権機関は、市場を社会主義経済管理の補助的空間として利用しなければならない。市場では販売できないことになっている商品を販売したり、限度価格を超過して商品を販売したりすることはできない。市場の外では商品を販売する行為はできない。

市場をあくまでも「補助的空間」と位置づけた上で、限度内なら商人が自由に商品価格を決定する根拠となっているが、改正後の法律では「商品価格と商行為許可料金規定を国家が定めた通りに従うこと」と強調し、市場の自由な経済活動に制限を設ける形となった。

市場経済への国の介入強化は、昨年末に平壌で開かれた朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会で、金正恩党委員長が行った次のような発言がベースになっているものと思われる。

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金正恩委員長は、内閣は現存の経済的土台を効果的に利用して国家の財政を強化し、生産単位も活性化できるように正しい経済作戦を立て、仕事の手配を綿密に行わなければならず、さしあたって国家経済の命脈と全一性を固守するための活動から内閣の統一的な指導と指揮を保障しなければならないと言及した。(朝鮮中央通信の報道より)

(参考記事:「正面突破戦は革命的な闘争戦略」北朝鮮メディア、正当性を強調

一方、同時に改正された便宜奉仕法は、理容、美容、入国、加工、修繕などのサービス部門に関する法律だが、「すべての機関、企業所を国営管理体系に配属させて管理すること」と「商店の収入内訳と注文を含む会計報告書を監督機構に提出しなければならない」という内容が付け加えられたとのことだ。

改正前の法律の第4条では、サービス業を営む企業所に対する中央の管理、監督が明文化されているが、会計報告の具体的な方法は明示されていなかった。

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また、「国家機関が便宜奉仕用の資材と不足品を確保し、企業所の輸出入などを厳格に管理しなければならない」という内容も追加された。

今回の法改正だが、その目的は実質的な税収の増大にあるものと思われる。情報筋は、新しい法律のもとでは、販売する商品に応じて税金を細分化し、市場の運営、管理のコントロールを強化し、従わない場合に課せられる罰金も増えると見ている。

情報筋はまた、今回の法改正について「(国の)市場を社会主義建設を破壊する毒素との見方が反映された」とし「市場を完全に解体したり、完全に国家統制下に置くことはできないが、段階的に国の商業中央指導機関に所属させるための作業に入った」との見方を示した。

つまり、トンジュ(金主、新興富裕層)が国の機関、工場、企業所の幹部らと結託した形のクローニー(縁故)に基づく市場経済から、市場経済的要素を取り込んだ国家主導型の経済へと移行を進めるというわけだ。

法改正後、内閣と国家計画委員会主導で市場管理所に対する検閲(監査)が始まる兆しがあると伝えられている。会計の帳簿、商品流通や販売許可、消費者の商品に対する評価など、全般的な検閲が行われると情報筋は見ている。

市場や商業施設で働く人々は、今回の法改正に不満の声を上げ、対策を進めている。

「市場で販売される商品は国ではなく個人が資金を出し、流通網を通じて手に入れたものなのに、なぜ国が調査して、管理監督しようというのか理解できないという声が上がっている」(情報筋)

情報筋はまた、市場価格の統制を始めれば、貨幣改革のときのように大混乱が起きかねないとの懸念が広がっていると伝えた。

貨幣改革とは2009年に行われた、旧紙幣を廃止し、単位を切り上げた新紙幣を発行するデノミネーションのことを指す。金正日総書記が市場を廃止し、経済の主導権を国の手に取り戻すために断行したものだが、商人が貯め込んだ富を取り上げるために、新紙幣に交換限度を儲けた。

その結果、北朝鮮経済は大混乱に陥った。市場からは物が消えて、一部地域では餓死者も発生した。なかには、「どうせ財産を国に奪われるのだから」と大量の旧紙幣を自宅で燃やす人も続出。新紙幣の価値は暴落し、ハイパーインフレが起きた。その混乱を収めて経済を発展させたのは、民間人主導の市場経済だった。それを知る金正恩氏は、市場に対する統制を避けてきたと言われている。

(参考記事:「計画経済は遠い昔の話」市場経済化をひた走る北朝鮮

ところが、一昨年あたりから、国家主導型の経済への回帰を疑わせるような動きが起きつつあった。

(参考記事:国定価格表が呼ぶ憶測…金正恩氏は計画経済への回帰を目指している?

しかし、「上に政策あれば下に対策あり」というお国柄の北朝鮮の人々は、早速対策に乗り出している。

「情報収集能力が高く、商才のある人々は、営業許可費を値上げしたり、会計帳簿の検閲を強化しようとする国の意図を看破し、すでに店を閉じたり、検閲時に問題になりそうな輸入商品を撤去したりしている」(情報筋)

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