人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

デイリーNK取材班は9月6日から中朝国境地域の中国側で取材を行い、複数の北朝鮮国民とのインタビューを行った。

北朝鮮国民は1990年代から食糧難に苦しめられ、絶望の中で日々を暮らしている。餓死で親を失い、路上生活をしている「コチェビ」と呼ばれる子どもたちも少なくない。今年7月と8月に北朝鮮を襲った水害で家を失う人が続出して以降は、大人のコチェビも急増している。それは、北朝鮮の食糧難が頂点にあった1997年の状況と似通っているとのことだ。

取材班が出会ったのは、首都平壌の郊外、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)からやって来た45歳のチェさん。親戚を訪問するために、合法的な手続きを踏んで中国にやって来た。これは、チェさんがそれなりの財力と地位を持った人ということを表す。

チェさんは、家や職場を捨てて流浪の旅に出たほうが、まだ生きていけると、コチェビ急増の理由を説明した。また、1996年9月27日に金正日総書記が出したコチェビを収容せよとの指示に基づいて作られた9.27常務についても説明している。

以下はチェさんとのインタビューを一部再構成したものだ。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

―成人のコチェビが増えた?

正確な数字はわからない。市場や駅前、人が集まるところあちこちにいる。1998年(苦難の行軍の末期)と似ている。

国が配給できないと公式に発表したことはないが、人々はもはや配給はないと信じている。労働者は職場で月給を決められた日にもらえるとは思っていない。数年間月給をもらえなくても欲しいと思う人はいない。皆が諦めている。企業所も月給を払えない。配給も月給ももらえないので、家も生活基盤も守る必要がない。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

ただ自由にあちこちをさまよい延命することが最後に残された生きる道だ。「死ねずに生きている」とは、そういうところから出た言葉だ。

―それでも生活基盤は必要なのでは?

違う。むしろ災いの元になる。家にいれば人民班(町内会)でやらされる仕事をしなければならない。職場にも出勤しなければならないが、それが負担になる。人民班では、人民軍への慰問品を買うというのでカネを払わなければならない。また、相互監視をさせられる。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

出勤したところで月給もくれないのに仕事や生活総和(自己批判)や学習(思想教育)をさせられる。これでは、座して餓死を待てというのと変わらない。ならば、いっそのこと住んでいるところを離れて自由にさまよいつつ生きるほうが楽だし、まだ食べられる。ただ、家もなく仕事もなくあてもなくさまようわけではない。

―子どものコチェビと大人のコチェビの数は?

子どもが7、大人は3の割合だ。男女は半々だ。

―コチェビはどうやって生きている?

大人は詐欺やカタリ、窃盗で生きている。子どもは市場で食べ物を拾ったり盗んだりして生きている。

―詐欺やカタリで生きている?

例えば、人民軍の家族を相手に詐欺を働く。先軍政治なので、家族のうち誰か一人は軍人だ。そういう人たちを相手に詐欺を働く者が多い。

例えば、そういう人たちの暮らし向きを調べて、ターゲットになりそうだと思えば、兵役中の息子のいる部隊のことを調べる。そして「息子が栄養失調になったから仕送りをして欲しいと頼まれた」と話してカネを騙し取る。信じ込ませるようにうまくやればいい。

気づかれることもあるが、ほとんどは自分の子どものことなので何も言わない。このような手口は、軍人がやって来たことで、今ではありふれたものだ。

―コチェビは、ジプシーと同じ?

同じわけがない。彼らは法的に問題なく流浪の旅を続けているが、コチェビは法的に許されない。彼らを捕まえるのが9.27常務だ。

―9.27常務がコチェビを全員捕まえればいいのでは?

捕まえてもどうにかして逃げようとする。9.27常務がすべて対処できないほどコチェビの数が多い。今、家と仕事を持っている人もいつコチェビになるかわからない(ので、今後増える可能性もある)。

元々、9.27常務とは、親を失ったり面倒を見る人がいなくなったりした子どものコチェビを収容せよという金正日総書記の指示に基づいてできた。

―各地にある保育院、愛育院とは異なる?

保育院、愛育院は、親を失った子どもを国が公式に面倒を見るところだ。9.27常務は、書類も持たずにさまよう子どもや大人を強制的に拘禁するところだ。つまり、国から面倒を見てもらえない。9.27常務の担当者が、コチェビを食べさせるわけではない。

―9.27常務の実態は?

あんなところに入れば絶望しかない。強制労働に苦しめられて死ぬだけだ。だから、逃げようとするが捕まる。捕まればまた逃げる。その悪循環だ。だが、中国に逃げられば一瞬だけとはいえ、生きていく目標が持てる。しかし、結局は日々の生活に追われるだけになるのだが。

(参考記事:【階層社会北朝鮮(下)】下層民1400万人、社会主義はどこへ行った

―コチェビ問題の解決法は?

国際社会が関心を持つしかない。北朝鮮には解決法がない。コチェビは一度くらい9.27常務に捕まった経験がある。登録された書類があるはずだ。

2に続く

    関連記事