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農地を増やすために農民に土地(の耕作権)を与え、個人の畑にも気を使う(余裕ができるように)したことが、モチベーションの上昇につながったというのが、情報筋の評価だ。圃田担当制がうまく行った事例だ。

現場レベルでの模索が続けられているが、国の農業政策を司る省庁にも変化が生じている。

内閣は、今年10月に発した政令で、穀物生産を総括する農業省と、穀物を国が定めた価格で買い取る収売糧政省を統合・再編成し、後者の機能を農業省農村経営委員会に移した。

平壌の幹部が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対してこのように語った上で、「これで内閣農業省は、党の農業と畜産政策を司り、食糧と食肉の生産を管轄するにとどまらず、わが国の食料需要と供給をすべて責任を持ち、管掌する力のある機関として浮上した」と述べた。また、今回の措置は、圃田担当責任制で協同農場の自主的な農業を後押しする政策で、農場幹部や農民から好評だと伝えた。

また、平安北道(ピョンアンブクト)の農場幹部も、RFAの取材に、今回の統合で、不正行為を相互監視できるようになれば、軍糧米の調達にも役立つだろうと農場幹部は見ている。

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収売糧政省内部では不正行為が横行し、軍糧米が計画通りに調達できない状態だった。

「収穫した稲を脱穀する前に、各農場の収穫高を判定し、収売計画量を割り当てる権限を持った収売糧政員が、穀物の水分量を2〜3%低くして、数十トン単位で着服する事態が頻発している」(農場幹部)

また、軍に供給する軍糧米の徴発を巡って、農民、農場と軍の間でトラブルが頻発している。

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(参考記事:兵士と農民が大乱闘…北朝鮮「食べ物の恨み」で社会に亀裂

新義州市の場合、糧政事業所がコメを供給し、国定価格で販売する食糧配給所はほとんど姿を消し、市場価格で販売する食糧販売所に取って代わられたが、収売糧政省がなくなったことで、食糧配給所もなくなり、食糧販売所だけが増える、というのがこの幹部の見方だ。

一連の措置によって改善はあるだろうが、北朝鮮農業の抱える根本的な解決には至らないだろう。