北朝鮮で現在、大々的に行われている「堆肥戦闘」。

国内で不足する肥料を補うため人糞を集める作業を指すが、臭くて重く、盗難が頻発するために寝ずの番に立ってトイレを守るなど、肉体的にも精神的にも辛い作業を強いられる。これまで、北朝鮮国民の不満は非常に強かった。

(参考記事:亡命兵士の腸を寄生虫だらけにした北朝鮮「堆肥戦闘」という名の地獄

手間賃を受け取り、代わりに人糞を確保する「人糞ブローカー」という珍商売まで登場する有様だ。

(参考記事:冬の北朝鮮で暗躍する「人糞ブローカー」登場

ところが、一部では喜んで堆肥戦闘に参加するという人が現れたと、平安南道(ピョンアンナムド)の金城湖(クムソンホ)周辺に住むデイリーNK内部情報筋が伝えた。

昨年は豊作だったと伝える情報筋。一昨年はトウモロコシの長さが指2本にも満たなかったが、昨年は1.5倍になった。稲も1束120粒から170粒以上に増えたそうだ。昨年の北朝鮮は、相次いだ自然災害により凶作になったと伝えられているが、情報筋の住む村は事情が異なるようだ。

(参考記事:追い詰められた北朝鮮で「仁義なき食糧争奪戦」が勃発

「うちの村は昨年豊作だったが、圃田担当制をやっているところではさらに豊作だった」(情報筋)

圃田担当制とは、協同農場の農地を農民に預け、収穫の一定割合だけを国家に納めさせ、残りは個人の取り分とするものだが、それがうまく行って収穫が大幅に増えた。そこで、来年の収穫をさらに増やすために、農民たちは肥料となる人糞の確保に汗を流しているというわけだ。ノルマとして課されたもの以外にも、さらに多くを得るため一所懸命になっているとのことだ。

「作業班の農地も、個人の農地も同時に管理するが、個人用の方に熱が入るのは当然。そのためコメやトウモロコシが多く取れた。そんな話を他の村の人にしたら、とても羨ましがられた」(情報筋)

別の農民も、個人の畑で取れる収穫の取り分さえ保証してくれるなら、「日照りや台風に見舞われても豊作になる」と自信を示した。

圃田担当制は、金正恩氏が2012年に発表した「新たな経済管理体型を確立することについて」という談話をきっかけに導入された。まだ一部での実施に留まっており、様々な問題点はあるが、拡大傾向にある。

(参考記事:北朝鮮の農民を苦境に追い込んだ「農業改革」の逆効果

ある脱北者は「当局は、農民が豊かになれば思想的に堕落し、党に対する忠誠心を失い、個人主義の傾向が強まると考えている」として、圃田担当制の実施は一部に留まると見ている。

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