ロシアは2017年8月から、極東地域を訪れる18カ国の国民を対象にe-ビザ(電子ビザ)の発行を行っている。当初はウラジオストクの空港と港からの出入国に限られていたが、昨年からは沿海州と接している中国、北朝鮮からの陸路の入国、サハリン州、ハバロフスク州、カムチャッカ州などにも適用されるようになった。

ロシア外務省の電子ビザサイト(外部リンク)によると、対象となるのは日本、中国、インド、トルコなど18カ国の国民で、その中には北朝鮮も含まれている。

米国のESTA、オーストラリアのETASなどと変わりない電子ビザの導入で、ロシア極東を訪れる外国人観光客が増えているが、北朝鮮国民の利用は非常に低調だと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

ロシア極東開発省によると、電子ビザの導入から昨年12月24日までに電子ビザを所持してロシア極東を訪れた外国人の数は5万9000人だ。その内訳は中国人が最も多く4万5000人、次いで日本人(1万1500人)、シンガポール人(171人)、インド人(73人)の順だが、北朝鮮人はわずか39人にとどまった。ちなみに韓国人は、60日までの滞在ならビザは必要ない。

太平洋観光連盟のキリル・プタペンコ会長がロシア国営のスプートニクに語ったところによると、2017年にロシア極東を訪れた日本人の数は1万8000人で、中国人(40万人)、韓国人(10万人)よりは少ないものの、2016年と比べて2倍になっている。

この地域は中国、北朝鮮と接し、海を挟んで韓国、日本と向かい合っており、各国との交流が活発に行われている。一例を挙げると、ロシアのスラビャンカから中国の琿春に向かうバスは平日1日15往復、ポグラチニーから綏芬河に向かうバスは1日20往復運行されるなど、ピストン輸送状態と言っても過言ではない。韓国の仁川とウラジオストクを結ぶ航空便は、週78便も運航されている。成田とは週18便だ。

一方、北朝鮮との交流は非常に限定的だ。北朝鮮国境のハサンに向かうバスは1日1往復、近郊列車は週5便、長距離列車は月7便が運行されるに過ぎない。ウラジオストクと平壌を結ぶ高麗航空便も週4便に過ぎない。

北朝鮮は、ロシア極東から観光客を誘致しようとしているが、あまりうまく行っていない。かつて日本と北朝鮮を行き来していた貨客船・万景峰(マンギョンボン)号が昨年5月からウラジオストクと北朝鮮の羅津(ラジン)港を結ぶ航路に投入されたが、トラブル続きだ。

現地メディアによると、2017年8月、万景峰号を運行する船会社とウラジオストクの港湾当局の間で港湾使用料を巡り、同意がないとの理由で、到着後も10時間接岸できず、乗客が足止めされる事態となった。翌月に運航が再開されたが、昨年2月、国連の制裁違反となる物品を積んでいるとの疑いで税関当局に入港を止められた。そして、食糧と燃料がないとして、船長が救難を求める事態へと発展した。

そもそも、ロシア人は北朝鮮にさほど興味を持たないようだ。

ジョージタウン大学のブラウン教授はRFAのインタビューに、北朝鮮は羅先のカジノにロシア人を誘致しようとしたが、ロシア人は北朝鮮より韓国に行きたがるため失敗したとして、カジノ事業で成功するには中国人、韓国人、日本人を対象すべきだと述べている。

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