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北朝鮮に数多く存在する名所旧跡や景勝地。それら観光地の管理を行うのは政府の国家観光総局だ。観光地、観光商品の開発、外国人も訪問可能な開放地域の設定など、観光に関する多くのことを司る部署である。

(参考記事:実は近くて普通に行ける、北朝鮮旅行

「朝鮮観光」というウェブサイトを朝鮮語、英語、中国語、ロシア語、日本語で開設するなど、観光PRも行っている。ちなみに、北朝鮮で外国人観光客の世話をする朝鮮国際旅行社は、この国家観光総局の傘下にある旅行会社のつひとつだ。

一方、観光地を訪れる観光客の管理を行ってきたのは、秘密警察の地方組織にあたる道の保衛局だ。この権限が、中央の国家保衛省に移管された。そのせいで、多くの北朝鮮国民が自国の観光地に入れなくなってしまった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、平壌、板門店、妙香山(ミョヒャンサン)など外国人観光客が一般的に訪れるところや、中国人観光客の多い羅先(ラソン)、清津(チョンジン)などは、咸鏡北道保衛局が管理権限を持っていたが、これが国家保衛省に移管された。

「私自身も今月初め、保衛員(秘密警察)と共に(羅先の景勝地の)琵琶島(ピパソム)に行こうとしたが、新しい観光規定のせいで入れなかった。それほど見どころがあるところではないが、『道の保衛局から管理権が回収された』との理由で支配人が鍵を開けてくれず、島に入れずに海を見て帰ってきた」(現地情報筋)

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道の保衛局が管理権限を持っていたころは、地域の保衛員は問題なく島に入れたが、今では入れなくなった。羅先の海水浴場の多くはフェンスに囲まれているが、一般の住民でも琵琶島の海水浴場には問題なく入れた。しかし、今ではそれもできなくなってしまった。

咸鏡北道の別の情報筋によると、羅先からほど近い景勝地、七宝山(チルボサン)は北朝鮮国民も外国人も訪れることのできる数少ない観光地の一つだったが、今年に入ってから北朝鮮国民の立ち入りが制限されるようになった。

観光シーズンになれば、地元の金持ちはよく七宝山に家族旅行に行っていたが、今ではそうした光景もほとんど見られなくなったという。

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いずれの情報筋も、北朝鮮国民が観光地に近づけなくなった理由について「中国人観光客の急増」を挙げている。NKニュースによると、中国人観光客は今年6月から急増し、南北を分断する軍事境界線上にある板門店を訪れる観光客の数が1日に1000人から2000人に達していた。

特に手軽な半日、1日ツアーに参加する中国人観光客が急増したために統制が難しくなったようで、それにより権限が地方から中央に移されたもようだ。また、受け入れ側のキャパシティが追いつかず、自国の観光客を排除したとも考えられる。

もう一つ考えられる理由は、観光地で自国民が外国人観光客と接触し、「思想的に汚染される」ことを避けたいというものだ。