デイリーNKは今年5月、北朝鮮内部情報筋の話として、当局が北部山間地の慈江道(チャガンド)を「先軍革命特別区」に指定する件について、具体的な計画が立てられていると報じた。

情報筋は「核兵器と核物質を単に隠蔽するのとどまらず、徹底的に管理するという意図もうかがえる」と指摘し、慈江道が平壌のように一般国民が簡単には立ち入れない地域になるだろうとの見通しを示した。

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この件と関連し、北朝鮮は、4年もの時間をかけて慈江道所在の主な軍需工場を結ぶ地下坑道の建設に取り組み、最近、これを完成させたとの情報が伝わってきた。今回の工事は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の移動、発射関連の動向が外部に察知されないようにすることが目的だと情報筋は伝えた。

デイリーNKの北朝鮮内部情報筋によると、金正恩党委員長は2014年1月8日、朝鮮労働党中央委員会の軍需工業部(第2経済委員会)、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)、人民保安省(警察庁)、慈江道の労働党委員会などの関連部署のイルクン(幹部)に対して地下坑道の建設を命令。これを受けて工事が始まり、今年4月初めに完成した。

今回の工事で、生物化学兵器総合生産基地である江界(カンゲ)化学工場(361号工場)、城干(ソンガン)電線工場(城干11号工場)、江界トラクター工場(26号軍需工場)、江界総合機械工場(93号工場)など、道内の主な軍需工場が地下坑道で結ばれた。

完成後に現地を訪れた金正恩氏は、大いに満足し、工事に参加した人民軍第7総局第25旅団の指揮官、科学者、技術者とともに非公開記念写真を撮影したと情報筋は伝えた。

「現代戦の要求に応じて、軍事科学的に徹底的に準備された大陸間弾道ロケット(ICBM)の総合基地として発展させ、敵の陰謀と徴発に対応できる地下兵器工場を作り上げるのが、今回の地下坑道の工事の目的だ」(情報筋)

地下坑道はいかなる条件下においても、核弾頭と発射体、移動式発射台を安全かつ有利な場所に集結させるためのものだと、情報筋は付け加えた。

北朝鮮は今回の地下坑道完成を受けて、「党が決心して最高司令官同志(金正恩氏)が命令さえ下せば、わずか3分から7分の間に、ICBMが発射できるようになった」と評価しているとのことだ。いつ、どのようにミサイルを発射するのかを外部から察知されないように、地下坑道を通じて核ミサイルの集合、移動が可能になったということだ。

北朝鮮のミサイル発射に関する動向は、人工衛星で常にモニタリングされていることから、米国に先制攻撃の口実を与えかねないというリスクがあり、北朝鮮は極度の警戒を強いられてきた。地下坑道以外にも、衛星に動きを察知されず、核兵器を隠蔽するために様々な手段を模索しているものと思われる。