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北朝鮮の朝鮮中央通信は先月24日、今年春の植林が完了し、面積は昨年比で1.3倍に達したと報じた。毎年繰り広げられる植林事業だが、その裏では経済的苦境を脱するためにようやく育った木が大量に伐採され、中国に輸出されている。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、伐採が進められているのは道内でも山奥にあたる白岩(ペガム)、雲興(ウヌン)、普天(ポチョン)の各郡の山林だ。伐採は、金正恩党委員長の指示に基づくものだ。

金正恩氏は今年初め、不足する肥料や農業用資材をいかにして補充するかという問題で悩んでいたが、そこで思いついたのは「そうだ、山の木を切って中国に輸出しよう」というものだったというのが、情報筋の説明だ。

金正恩氏は早速、林業総局のイルクン(幹部)を呼びつけ、伐採対象地域の調査を行うことと、肥料と農業用資材を中国から輸入することについて指示を下した。ところが、この数日前に自らが発表した新年の辞で、金正恩氏は次のようなことを述べている。

山林復旧戦闘の成果をさらに拡大しながらすでに造成された山林に対する保護管理に力を入れるとともに、道路の技術状態を改善し、河川整理を正常化し、環境保護活動を科学的に、責任を持って行うべきです。

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木をたくさん植えて保護することを訴える一方で、木の伐採を命じるというあべこべの指示を出しているのだ。

そもそも、北朝鮮の山の木がなくなったのは国家の失政が原因だ。

金日成主席は、山を切り開き段々畑を造成することを指示した。そのせいで、保水力を失った山が大雨の度に崩れ、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」へとつながった。金正恩氏は、農業復興や防災のために、緑化事業が喫緊の課題であると指摘していたはずなのにだ。

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両江道では、2015年10月10日の朝鮮労働党創立70周年記念行事のために、三水(サムス)、豊西(プンソ)、甲山(カプサン)の300立法メートルの木材が伐採された。これは木材によって異なるが、原木200本から1000本に相当する量だ。

(参考記事:北朝鮮、材木の切り過ぎで「緑化事業」頓挫の危機

木が次から次へと伐採されていく様子を見つめる地元住民は、情報筋にもどかしい心情を吐露している。

「残り少ない山の木を爆買いされていくのを見ると、心が痛い」 「朝鮮労働党は全国の樹林化、園林化を叫びながら山に木を植えさせているのに、裏では山の木を切っている」

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白岩では、カラマツが伐採対象となり、角材1立方メートル(カラマツの場合約500キロ)2000元で中国に売られていく。多い日で中国から30台ものトラックがやってきて、1台あたり15立方メートルの角材を積んでいく。

情報筋は「こんな形で貧困を解消しようとしても、何も良くはならない」と嘆いた。

(参考記事:まるでコント! 引っこ抜いた山の木を植えるだけの北朝鮮式植樹戦闘