北朝鮮と国境を接し、中朝貿易で経済が成り立っていた中国遼寧省の丹東市。税関付近には問屋街が形成され、食品、日用雑貨はもちろんのこと、ソーラーパネルや農業機械に至るまで北朝鮮向けのありとあらゆる商品が取引され、賑わっていた。

ところが、核兵器とミサイル開発を続ける北朝鮮に対する経済制裁の強化で、同市は激しい不況に襲われた。特に昨年12月に国連安全保障理事会で採択された制裁決議第2397号は丹東にとって致命傷となった。「バイヤーが忙しく行き交っていた通りからほとんど人が消えた」(米CNN)というほどの深刻さだ。

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そんなところに飛び込んできたのが、南北首脳会談と米朝首脳会談が開催されるとのニュースだ。これを受けて中国国内ではすでに変化が現れ始めたと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

北朝鮮国境に面した遼寧省丹東の市民はRFAの取材に、中朝貿易は未だに極めて厳しい状況にあるとして、中朝貿易の最盛期には貿易業者が溢れていた鴨緑江大橋のたもとにある29階建てのビル「佳地広場」は、3分の2が空室になっていると明かした。

ところが、首脳会談開催の報道を受けて、丹東を離れていた貿易業者が丹東に戻る準備を始め、佳地広場にも部屋を借りたいという問い合わせが来ているという。

このビルの15階に250平米のオフィスを所有しているチャンさんは、「3年以上も空室のままだったが、数日前に問い合わせの電話が来た」として、ようやく部屋が埋まりそうだと期待感を示した。

韓国のテレビニュースをよく見るという丹東の別の情報筋は、報道通りに北朝鮮の核問題が解決するならば、今年の上半期にも良い話があるだろうと期待する貿易業者が増えていると述べた。つまり、制裁が緩和されると見込んでいるわけだが、実際にその兆しが現れつつある。

デイリーNKの中国情報筋は14日、吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉で、北朝鮮産の海産物が大量に流通していると伝えた。それも冷凍ではなく、新鮮なものだ。価格は昨年末より下がり、ズワイガニ500グラムが昨年末の40〜80元(約670〜1340円)から、30〜40元(約500〜670円)と半額になっている。

情報筋は、川幅の狭いところで密輸したり、税関職員にワイロを渡して輸入したものとしているが、価格が半分になるほど大量に流通していることを考えると、中国税関当局が規制を緩和した可能性も排除できない。

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一方で、米国と韓国が北朝鮮に対して持つ不信感は深く、期待するのは時期尚早だと考える人もいる。

かつて中朝貿易に携わっていた丹東のビジネスマンは「北朝鮮という国は一歩先すらも見えない異常な国だ。核を放棄するなんて信じられない」と強い不信感を示した。また、北朝鮮のメディアは非核化について全く触れておらず、北朝鮮の知り合いの中で非核化を信じている人は誰もいないとも述べた。