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北朝鮮当局は、中国に進出している自国の貿易会社に対して事実上の撤収命令を下した。中国の制裁に対する報復措置と思われるが、駐在員の間では困惑が広がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は「最近、政府から今月23日をもって中国での営業活動を中止せよとの指示が各道に下された」と述べた。これを受けて、中国に進出している貿易会社の人員はビジネスからの撤収と帰国の準備を進めている。

北朝鮮の各地方当局は、中国に貿易会社を設立して事業を行い、その収益を行政機関の予算に当ててきた。中央政府から充分な資金が得られないからだ。設立には、30万元(約516万円)から100万元(約1720万円)の資金に加え、政府の許可を得るためのワイロ10万元(約172万円)以上も必要だ。

今回の撤収命令で、投資した多額の資金がパーになるだけでなく、今後の資金繰りにも重大な影響が出るものと思われる。当局は、様々な名目で地域住民から税金の代わりとなるカネを徴収しているが、今後の資金難で大幅な「増税」が予想される。

(参考記事:経済制裁下の北朝鮮に吹く「有料化の嵐」…庶民から「小銭」を吸い上げ

今回の措置について別の情報筋は、複数の貿易機関の関係者の話として、中国の措置に対する反発という見方が支配的だと伝えた。

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中国商務省は昨年9月、国連安全保障理事会の制裁決議2375号の採択(昨年9月12日)から120日以内に北朝鮮企業、合弁企業の閉鎖を命じたが、期限の今月9日までに閉業しなかった北京、上海、丹東を含む一部地域の北朝鮮企業に対して、営業停止、事業登録証の無効措置を取っていると韓国の聯合ニュースが報じた。

この措置への反発ということだが、北朝鮮の置かれた現実を知る関係者の間では困惑と不安が広がっている。

「平壌の指示は今月中に撤収せよということだが、もしこれが完全撤退ならば、収拾のつかない結果となる。責任者は不安に震えている」(咸鏡北道の情報筋)

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北朝鮮当局は昨年末から、国内での中国製品の販売を禁止する措置を取り、大々的な取り締まりに乗り出した。ほぼ同じ時期に撤収命令が下されたことを考えると、北朝鮮当局には、9割を超える貿易の対中依存からの脱却を図る意図があるものと思われる。

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しかし、これは自殺行為以外の何物でもない。

「最近になって国産品が市場にも大量に流通するようになり、中国製品が減少傾向にある」(デイリーNK内部情報筋)ものの、国産品だけですべてを賄うには程遠い状況だ。また、中国より人件費も物価も高く、文化も異なるロシアからの輸入に頼るには限界がある。そうなれば、頼れるのは韓国しか残っていない。