北朝鮮は、世界的にも珍しい「国内移動の自由」がない国だ。登録された居住地域の外に出るためには、役場で通行証を発行してもらい、さらに通過する哨所(検問所)で提示する義務がある。道、市、郡の境界線には、人民軍保衛司令部の哨所(10号哨所)と人民保安部(警察)の哨所に加えて山林経営所の山林監督哨所があり、行き来する人や車、物品を二重三重にチェックしている。
そういう状況下で人気を博しているのがソビ車(民営バス)だ。ドライバーがあらかじめ哨所にワイロを掴ませているので、通行証なしでもある程度は通過できる。
軍が警察を袋だたき
さらに信頼度が高いのが人民軍のトラックだ。ソビ車の収益で運営予算を稼ぎたい軍と、商売のために移動したい人々のニーズがマッチして利用者も多い。ところが、軍用車両の営業行為いわば軍の白タクを巡り、軍と治安機関(保衛部=秘密警察)と人民保安部=警察)の間で衝突する事件が発生したと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じる。