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北朝鮮は2020年、反動思想文化排撃法を制定し、主に韓流と中国キャリアの携帯電話の使用に対する「掃討戦」「殲滅戦」を繰り広げてきた。

人口15万人の咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)では、この法律に違反したとして、数百人が逮捕され、全道では2019年と2021年を比較して、逮捕者が4倍に増加する事態となった。

地域に衝撃と恐怖が広がったが、それでも中国キャリアの携帯電話のユーザーが、「殲滅」されたとは言い難い。この地域の「地場産業」である密輸や送金を行うには欠かせないからだ。

(参考記事:「住民をすべて殺すわけには…」北朝鮮の地方都市で大粛清のジレンマ

そんな中、最近になって、ようやく中国キャリアの携帯電話に対する処罰基準が明らかにされた。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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会寧市内の各地域の人民班(町内会)の会議で今年3月末、こんな話があった。

「(朝鮮労働)党の大きな愛と配慮にも、一部住民は金儲けに目がくらみ、敵どもに国の秘密を売り払う行為を行っている」

当局が、携帯電話の使用の摘発に躍起になっているのは、海外に知られたくない情報が次から次に流出している現状がある。

(参考記事:機密文書の国外流出を戒める文書が国外流出してしまう北朝鮮

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そして、4月からは、韓国との通話が発覚した場合は、通話1回あたり労働教化刑(懲役刑)3年に処す、今後気をつけよ、携帯電話を隠し持っていれば、今のうちに自首せよ――などと言った内容が伝えられた。

上述の通り、厳しい取り締まりにも関わらず、中国キャリアの携帯電話の使用は根絶できておらず、今回の具体的な処罰基準の提示は、より大きな衝撃と恐怖を与えようという当局の意図があるものと思われる。

当局は、通話先が中国か韓国かによって、処罰のレベルの変えている。中国の場合は、短期の懲役刑で済ませている。一方で、韓国の場合は、スパイ罪を適用して、無期懲役の判決を下した上で、教化所(刑務所)送りにするか、管理所(政治犯収容所)送りにしている。

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会寧は、中国と国境を接する地理的条件から、脱北者を多く生み出しているが、その中で韓国に定住した者と、北朝鮮に残った家族や親戚との通話の過程で、意図の有無は関係なく、情報がダダ漏れになっている現状を反映したものだ。

今回の一件を受けて、脱北者家族は、韓国に住む家族から送金ブローカーを通じて送金だけ受け取り、直接の通話は避けるようになっている。他愛のない家族の会話であっても、送金ブローカーと共に逮捕され、管理所送りにされかねないからだ。

(参考記事:犯罪者の4割は「韓流ドラマを見た、売った」…北朝鮮の極秘統計