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国連安全保障理事会の制裁に抵触する行為ながら、北朝鮮は海外に労働者の派遣を続けている。その多くが中国で働いているが、ロシアに送られる人々もいる。その数は現在、2万人に達するものと見られている。

(参考記事:北朝鮮、制裁を「完全無視」してロシアに労働者を派遣

中国に派遣されている北朝鮮労働者は、勤務先から自由に外出することもできない。一方、ロシアに派遣された人たちは、比較的自由な活動が認められていたが、それも今後は変わりそうだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

ウラジオストクの高麗人(朝鮮系ロシア人)の情報筋は、今月1日から個別に小規模の工事を請け負うことができなくなったと伝えた。

今までは、通常の勤務先に加え、アルバイトのように個人単位で仕事を請け負うことができたが、それが禁止されたということだ。これは平壌からの指示に基づくものだ。

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先月中旬ごろから「バイト先」からの撤収が始まり、今では通常の勤務先だけで働くようになっている。10~20人からなるグループを作り、相互監視するようになった。

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また従来から、彼らを管理する会社はパスポートを取り上げ、その代わりに身分証明書となる「確認証」という書類を渡していたが、今はそれすらも回収してしまったとのことだ。また、バイトを請け負うのに欠かせない携帯電話も回収の指示が下された。

ある労働者は「ひとりで外出したり、外国人と話したりするなとの指示が下された」と述べた。作業時間以外には、鉄板で囲まれ監視カメラの設置された寮で暮らすことを強いられている。

こんなことになったのは、現場を離脱して逃亡、脱北して韓国行きを選択する者が後を絶たないからだ。韓国政府は、脱北後に入国した人に関して原則として発表、確認を行わない立場を取っていることから、脱北者の数が報じられているより遥かに多いことも考えられる。

(参考記事:ロシアで働いていた北朝鮮国民11人が韓国に亡命

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また、一般労働者ではないが、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の工作機関に所属し、ウラジオストクで活動していたハッキングの専門家が亡命を試み、失敗したこととも関係している可能性もある。

(参考記事:北朝鮮のハッキング専門家、亡命失敗しロシアで監禁か

同様に、北朝鮮労働者が「バイト先」から撤収したと伝えたナホトカの高麗人情報筋は、北朝鮮当局が、労働者を10人以上のグループにまとめ、与えた国家計画の課題、つまりノルマを達成することを無条件で要求したと伝えた。ノルマとは月706ドル(約8万1500円)の上納金だ。

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そもそも、労働者がバイトに精を出していたのは、上納金を納めるためだ。

別の情報筋は昨年11月、北朝鮮労働者が就労ビザではなく研修ビザでロシアで働いているものの、足元を見たロシアの雇用主から賃金が支払われず、高額の上納金が払えず、当局からの督促に苦しめられていると伝えた。今回のバイト禁止令で、上納金を納められず窮地に追い込まれる者がさらに増えるものと思われる。

(参考記事:ロシアで北朝鮮労働者が自殺…制裁影響、先月に続き