「北朝鮮で生きていくのに、ドライバーほどいい仕事はない。企業所から穀物、野菜、薪を運べて、分前ももらえる。キムチ用の大根や白菜を運べば、いちばん新鮮なものをふんだんにもらえた」

北朝鮮で企業所のドライバーとして働き、ある事情で韓国にやって来た脱北者のキム・チュニル(仮名)さん。ドライバーだったころを思い出して、北朝鮮での生活が懐かしいほどだと語る。

「車を必要とする人からガソリンを分けてもらえるので、自分はガソリンを買わずに運転だけすればいい。食事も自宅ですることはあまりなかった。外で接待してもらえるからだ。他に運送手段がないから、皆が車を使いたがる。仕事で長距離を走る時は商売をした。道端で乗せてほしいと手を振る商人を数人乗せてあげれば、お酒とタバコがもらえた」