北朝鮮の秘密警察である国家保衛省(以下、保衛省)の本来の任務は、国民の一挙手一投足を監視し、体制不安の芽を徹底的につぶすことだ。しかし、貧乏国家・北朝鮮の一部署であることから、予算は少ない。それだけでなく、逆に国家に上納金を納める義務も負っている
その上納金は、拷問で顔面を串刺しにするほどの比類なき暴力性を武器に、北朝鮮の富裕層から一般庶民に至るまで、一部の超特権階級を除くあらゆる人々から収奪するのである。いわば「恐喝ビジネス」である。
(参考記事:口に砂利を詰め顔面を串刺し…金正恩「拷問部隊」の恐喝ビジネス)北朝鮮の情報筋は朝鮮日報に対し、「国家保衛省が最近、各道・市・郡の保衛局(保衛省の地方組織)に毎月一定金額のドルを上納するよう外貨稼ぎのノルマを割り当てた」と証言している。ノルマは道の保衛局の場合、毎月50万ドル(約5,640万円)、市・軍保衛局の場合、5万ドル(564万円)、里(行政区分の一つ)の保衛局は5千ドル(56万円)を納めなければならない。