それが般庶民でも持てるようになったわけだが、積極的に使おうとする人はいないという。
カード作成手数料の2000北朝鮮ウォン(約26円)がもったいないのではない。北朝鮮の人々は、北朝鮮ウォンも、銀行も、国も信用していないからだ。
北朝鮮当局は金正日総書記時代の2009年、貨幣改革として、通貨単位を100分の1に切り下げるデノミネーションを行った。市場に奪われた経済の主導権を、国の手に取り戻すのが目的だった。
旧紙幣から新紙幣への交換が行われたが、上限額は一世帯あたりわずか10万北朝鮮ウォン(当時のレートで約30米ドル)。残りは銀行に預けさせられたが、事実上の没収だった。