まずはシンガポール企業と原油輸入契約を結ぶ。次にシンガポール企業がロシアの石油会社と契約を結ぶ。そして、タンカーに積んで北朝鮮に輸送するという流れだ。取引を隠蔽すると同時に、シンガポール企業の信用度の高さを利用して、先に原油を受け取り、支払いは後回しにできるメリットがあった。
リ氏がこの事業に関わっていたのは1997年から2005年までの間だが、このルートが今でも使われていることはタンカーの動向を観察すればわかるという。
一方、中国からは借款の形で年間50万トン前後が供給されている。パイプラインを経て輸入された原油は、烽火化学工場で加工され、ガソリン、ディーゼル油がそれぞれ10万トンずつ生産される。つまり、トラックや乗用車に使えるのは20万トンにしかならず、それすら全量が軍需用や備蓄用に回される。