2011年1月には、清津(チョンジン)市の南江(ナムガン)女子中学校で当局が取り締まりを行ったところ、16歳と17歳の生徒の相当数が覚せい剤の吸引道具を持っていたことが明らかになっている。
(参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦)北朝鮮では、2013年から義務教育の期間が12年制から13年制に1年延長された。こうした中、地方の教育現場では、教員不足を補うため一般住民から教員を選抜、雇用した。この教員たちは、理論ではなく実習を中心とした授業を進めることから、親たちからは概ね好評を得ているという。
こうした現場からの教育改革、いわば「北朝鮮・草の根教育改革」が、全体的にいい影響を生み出している一方で、拝金主義や薬物汚染がはびこるようでは、健全な教育などできるわけがない。金正恩党委員長は、度々教育現場を訪れて「人民愛」をアピールしている。ならばこうした諸問題の解決に向けて積極的に取り組むべきだろう。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。