とくに洪氏は選挙演説で、「有事の際には軍を北進させ、金正恩ら指導部を除去して国土を制圧する」とまで言ってのけた。
ところが現地のジャーナリストによれば、「この発言はネット上で『頭がおかしいんじゃないか』『ぜったいに投票しない』と叩かれまくった」という。書き込んだのは主に、息子を兵役に送っている親の世代だ。北朝鮮は核兵器を持って待ち構えているのに、そんなところへ息子を送るなどとんでもないというわけだ。
韓国社会の厭戦ムードは、2年足らず前(2015年8月)の軍事危機と比べても強まっている。北朝鮮の仕掛けた地雷爆発に端を発したこの危機の時にはまだ、「やるなら、やってやろう」という気分が出ていた。
(参考記事:【動画】吹き飛ぶ韓国軍兵士…北朝鮮の地雷が爆発する瞬間)つまり韓国の政治指導者は、北朝鮮の核武装を受けて、金正恩政権との「対話」と「対決」のいずれを選択しても巨大なリスクを抱えるという、袋小路に追いやられてしまったわけだ。