部下が脱北したとなると、その上官は責任を問われ、重い処罰を免れない。その上、今回のケースはタイミングが最悪だった。15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)を控え、「事件事故は一件たりとも許してはならない」とされる特別警戒週間の最中だったからだ。脱北した兵士はまず間違いなく、意図的にこのタイミングを選んだのだろう。
(参考記事:「同僚の娘を貯水タンクに沈めて殺害」…北朝鮮で多発する凶悪事件の動機と背景)金正恩政権に入ってから、軍では下級兵士の軍紀を正す目的で、統制が強化されるようになったとされる。それに伴い、上官が部下に暴力を振るう事態も多発するようになった。軍には不服従問題が蔓延しており、士気はダダ下がりだ。特に冬期訓練が終わる春先は士気が大きく緩む。