マレーシアのサラワク州は、国内で唯一北朝鮮出身の労働者を受け入れている州だ。しかし、その約8割が不法滞在の状態にあると、英字紙ボルネオ・ポストが報じた。

サラワク州移民局は、州内で働く176人の北朝鮮労働者のうち、有効なビザを持っているのは36人に過ぎず、残りの140人は労働許可証の期限が切れており、オーバーステイで不法滞在の状態にあるとし、逮捕に乗り出している。その一環として37人の北朝鮮労働者を逮捕している。

同州のアバン・ジョハリ知事は、州庁舎で行った記者会見で、逮捕された労働者は本来なら国外追放するところだが、金正男氏殺害事件で北朝鮮との関係が悪化し、北朝鮮外交官の出国が禁じられている現状では、追放の決定は連邦政府の承認次第となると明らかにした。

サラワク州とサバ州のあるボルネオ(東マレーシア)は、歴史的な経緯で、首都クアラルンプールのあるマレー半島(西マレーシア)の各州より、高度な自治権を有している。入管行政も連邦政府ではなく州の管轄となっており、ビザや労働許可証も州の移民局が発行する。

そのため、本来なら不法滞在者の追放は州が決定できるだが、外交は連邦政府の管轄であるため承認を待っているということだ。

ほとんどの北朝鮮労働者は、州内のスリ・アマン地区のスランティク炭鉱で働いていたと言われているが、現地の信頼できる情報筋によると、全員が昨年10月に帰国しており、現在は1人もいないとのことだ。つまり、170人はここ以外の場所で働かされているということだ。

この炭鉱は、州都クチンから南東に100キロ離れた、インドネシアとの国境付近のジャングルの中にある。一部メディアは、北朝鮮労働者が孤立した環境に追い込まれ、人権が侵害されていると報じていたが、世論の関心を集めることはなかった。ここでは2014年11月、爆発事故が起き、北朝鮮人を含む4人の外国人労働者が死亡している。

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