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しかし、捜査と法的処理に責任を持つマレーシア当局は、遺体の身元を公式に確認するのに必要な指紋や歯形がないため、「被害者は金正男氏である」と言い切れずにいるのだ。

仮に、「遺体は旅券の名義人であるキム・チョルである」と言い張る北朝鮮当局の言い分が通るようなことになれば、公式に記録される事件の構図は、我々に見えているのとはまるで違うものになってしまうかもしれないのだ。

権力者のやりたい放題

そのため、マカオにいる正男氏の息子、キム・ハンソル氏ら遺族がいつ、どのようにDNAサンプルをマレーシア当局に提供するかに注目が集まっている。現地報道を中心とするメディアの論調を見ていると、それが比較的容易に実現しそうな印象を受けるが、果たしてそれは正しい理解なのだろうか。