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労働新聞など北朝鮮の国営メディアは、爆発事故や火事、殺人事件、自殺、強盗などの事件や事故は一切報道しない。これは、旧ソ連などの旧共産圏のメディアも同じだった。「理想的な社会」である共産主義社会において、事件や事故は「公式的に起きてはならない」ものとして、報道されないのだ。

しかし、1990年代の食糧難以降、盗難から殺人に至るまで、様々な事件が起きている。2002年の7.1措置以降は、カネ絡みの事件や事故が増えた。

もちろん、事件や事故は法に基づいて裁かれることになっているが、人民保安省(警察)など国家機関の大部分に腐敗が蔓延しているため、カネやコネの力でもみ消しされてしまうことも多い。

最近の傾向としては、生きていくための生計型犯罪が増えたという点だ。デイリーNKの内部情報筋からの情報を総合して、最近北朝鮮で起きている様々な事件、事故についてまとめた。

工事現場で殺人事件隠匿

首都・平壌の中心から南西に8キロ離れた統一通り。1980年代末に建設されたニュータウンで、北朝鮮のプロパガンダに頻繁に登場する。

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平壌の情報筋は、所轄の保安員(警察官)から聞いた話として、1990年代半ばの食糧難の時期から現在に至るまで、まで、統一通りの周辺や近隣を流れる大同江で、遺体が毎日1体は発見されていると伝えた。

統一通りは、1990年代の経済難で建設途中で放置された建物が多く、「死体を遺棄するのに適当な場所」(情報筋)だそうだ。また、遺棄された死体はバラバラの状態で見つかることも多く、捜査を行っても迷宮入りすることが多い。

電気炊飯器を使っただけで平壌から追放

当局の行う犯罪対策の一つが、平壌からの追放だ。

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別の情報筋によると、窃盗、経済犯罪、殺人、強姦、詐欺、脅迫などで逮捕、起訴後に実刑判決を受け、出所した後に、平壌から追放する処分が今年から下されるようになった。しかし、その範囲が異常に広く、違法な映像の流布、視聴、違法な電気の使用など、凶悪犯罪とは言えないものまで含まれている。

違法な電気の使用とは、国が禁止している電気炊飯器を使った、部屋にコードを増設して暖房を使ったなどと言った他愛のないものだ。

去年の10月から今年の2月までの間、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の保衛司令部傘下の7.17常務(取り締まりチーム)は、違法な電気の使用に対する集中的な取り締まりを行った。それも、取り締まりを効率が上がるように、若者から担当者を選び、区域ごとに摘発実績を競わせるという手法が使われた。

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数多くの人が摘発されたが、そのうち中間クラス以下の幹部は全員が地方に追放された。

兵士の窃盗行為はあいかわらず

それ以外に目立つのは、朝鮮人民軍の下級兵士の窃盗行為だ。

東海岸の大都市、咸興(ハムン)の情報筋は、除隊を控えた兵士が窃盗を行うと説明した。10年にも及ぶ長い兵役を終え、自宅に帰るための旅費やその後の生活費を工面するためだ。

中隊長、小隊長クラスの幹部も、部下が犯罪に手を染めていることを知っているが、盗んだカネを掴まされて、黙認しているという。中には、窃盗を指示するケースすらあるが、いずれの場合も大きな問題にはならない。

保安員には兵士の犯罪行為を取り締まる権限がないため、逮捕したとしても軍の警務隊(憲兵隊)に引き渡すだけで、警務隊が罰を下すこともほとんどない。