朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が、食中毒と思われる症状で次々に倒れる事態が起きている。配給された食品に問題があったものと思われる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、水害被災地の入居を祝う行事に参加した中央の幹部が、国境警備隊の視察に訪れた。これは、「兵士たちの食生活を点検せよ」という金正恩党委員長の指示によるものだ。

視察の報告を受けた金正恩氏は「警備隊の兵士は思想戦線の最前線を守る哨兵」と述べ「彼らに、中国人をうらやましがらないレベルの食事を準備せよ」との指示を下した。

その指示に従い、人民軍後方総局は、冬季訓練が始まる昨年12月1日から、国境警備隊への食糧配給を大幅に増やした。その中には、兵士1人あたり2匹のハタハタも含まれている。

ところが、これが問題になった。

両江道(リャンガンド)の情報筋は「ハタハタのスープを食べた兵士たちがひどい下痢を起こしている。ひどい匂いがして、かなり傷んでいるようだ」と語った。

今年の北朝鮮では、ハタハタが大漁となっている。金正恩氏の漁業奨励策が功を奏したと言えるが、保存設備が整っておらず、道路事情が悪く輸送に時間がかかることもあり、品質管理に大きな問題を抱えている。そもそも、金正恩氏が「コールドチェーン」という概念を理解しているかすらも疑わしい。

各貿易会社は、ハタハタを中国に輸出したものの、案の定売れずに、大量の在庫を抱えて困り果てている。

中国の国境都市に住む情報筋は、次のように語った。

「こんなに売れないんだったら、中国に輸出するよりも、金正恩氏が約束したとおり、北朝鮮の人々に配給したほうが、よっぽど(体制宣伝の)効果がある」

このアドバイスが届いたのか否かは定かではないが、北朝鮮はハタハタを国内に向けて出荷するようになった。今回の配給もその一環と思われる。ところが、「将軍様(金正恩氏)がくださった下痢」と兵士たちが皮肉る状況となってしまったのだ。

問題はハタハタだけではない。

兵士たちに配給される「固体の油」は包装されておらず、鉄くずや糸などの不純物が含まれている。さらに、製造地、製造年月日も記載されていない。

また、出汁用の昆布も状態がよくない。砂まみれの状態で届くので、砂をはらってから何度も念入りに水洗いしなければ使えないのだ。

北朝鮮の食糧事情はかなり改善されているが、末端の兵士たちは依然として飢餓に苦しめられている。輸送過程での横流しが横行しているからだ。兵士たちが、中国人をうらやましがらなくなるのは、まだ先のことになりそうだ。

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