中国遼寧省の丹東市は中朝貿易の要であり、物量の8割が通過する。しかし、国連安保理で今年1月に採択された制裁2270号で打撃を受けた。

さらに、北朝鮮が9月9日に強行した5回目の核実験を受けて、国連安保理は石炭輸出の制限を含む新たな制裁2321号を採択。制裁不況に苦しめられていた丹東市にもたらされた新たな制裁のニュースは、地域経済に暗い影を落としていると、中国人民日報系の英字紙グローバル・タイムズが報じた。

貿易区がシャッター通り化

同紙の記者は、市の郊外にある「中朝辺民互市貿易区」の市場を訪れた。

丹東市は、同貿易区のプロジェクトに10億元(約165億円)の予算を投じて推進してきた。ここでは、国境から20キロ以内の住民が1日8000元(約13万2000円)の範囲内なら、関税なしで商品の売買ができる。北朝鮮の50の業者が入居することになっていた。

しかし、制裁の影響で保留となり、市場では閑古鳥が鳴いている。シャッターを下ろした店や、空きテナントも多い。

ある店の経営者は「貿易区のプロジェクトは失敗した。制裁で商売あがったりだ」と述べる。一方で、北朝鮮の食品を販売する店の経営者は「食品は民生用だから、新たな制裁の影響は受けない。店は生き残れる」と述べた。

石炭輸入業者が廃業も

制裁不況の波は丹東市の全体に及んでいる。

国境を流れる鴨緑江の川岸で、観光客向けに朝鮮の伝統衣装のレンタル業を営んでいる50歳男性。他の丹東市民同様に、北朝鮮関連のニュースには非常に敏感になっている。

「新たな制裁のニュースを見た。石炭を積んで北朝鮮からやってくるトラックはさらに減りそうだが、他の物資には影響はないだろう。北朝鮮の人も生きていかなければならないのだから」

丹東のビジネスマンは記者の取材に、北朝鮮からの石炭を輸入している業者は大打撃を受けており、中には廃業に追い込まれているところもあると述べつつも、「いらいらがつのり、他のことを考える余裕がない」とインタビューには応じなかった。

「新制裁は北朝鮮に大きな痛手」

延辺大学国際政治研究所の金強一所長は次のように述べた。

「北朝鮮と鉱業、金融分野で取引を行ってきた丹東の中国企業は、今年3月以降損害をこうむっている。新たな制裁は、経済を石炭の輸出に頼っている北朝鮮に大きな痛手となるだろう」

減っているのは、貿易だけではない。北朝鮮当局が中国の工場などに派遣していた労働者の数も大幅に減少している。

遼寧社会科学院辺境研究所の吕超所長によると、丹東で働く北朝鮮労働者の数が減少しているとし、2014年には2万人だったが、今では1万5000人まで減った。

ちなみに、グローバル・タイムズの中国語版に当たる環球時報、地元の丹東日報を含む他の中国メディアは、この件について報じていない。

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