ざっくりと見てきたが、やはり金正恩氏優位との感が強い。韓国の指導者にとってノドから手が出るほど欲しいのが「南北問題の進展」という成果だが、これには金正恩氏を巻き込む必要がある。だが、核兵器開発を先鋭化させる金正恩氏に融和的な態度をとるには、世論や国家の正統性(どちらの体制が歴史的に正しいか)を考えると、リスクが大きい。
こうした事情は金正恩氏も当然知っており、ガンガン利用していくだろう。このため、誰が韓国の大統領になろうとも北朝鮮の優位は変わらない。本紙でもたびたび伝えているように、人権侵害国家の北朝鮮では「世論」に気を配る必要がないからだ。また、新任大統領は、就任後とうぶんの間は混乱する韓国国内政治の収拾にかかりきりにならざるを得ない。金正恩氏は高見の見物、といったところだろうか。
