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北朝鮮は不思議な社会で、表向きは社会主義であるが、実情は庶民の爪の先まで資本主義が染みわたっている。忠誠を誓うだけで衣食住を保障してくれるはずだった党と指導者は、その責任を20年以上前に放棄した。100万人以上の餓死者を出し「苦難の行軍」と呼ばれた90年代中盤の大経済難の時代から、北朝鮮の庶民を食べさせてきたのは「商売」だった。

中学生と親が一緒に

鍋釜をトウモロコシと交換する原始的な物々交換からはじまり、農村への買い付けに行き市場で売るといった初歩的な商売、オートバイを利用した「輪タク」、そして中国からの密輸にいたるまで、あらゆる商売が庶民の生活を支えた。国家によるサービス供給が崩壊しているので需要も高く、庶民の経済網はわずか十数年で北朝鮮全土をおおうまでになった。