韓国や米国では今、与正氏に北朝鮮国内での人権侵害の責任を問い、制裁指定すべきかどうかが論じられている。その理由は主に、与正氏の役職のためだ。北朝鮮の内部情報筋によれば、与正氏は朝鮮労働党中央委員会・宣伝扇動部の副部長の地位にある。副部長と言えば、日本の中央省庁の審議官から事務次官級に相当する高級官僚だ。
また、宣伝扇動部は、国民の思想や情報の統制を司る部署だ。北朝鮮で外部の情報に触れた人々が、拷問や銃殺を含む厳しい処罰を受けているのは、周知のとおりである。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)与正氏は、思想や情報統制ではなく行事の準備・進行を担当しているとも言われるが、正恩氏の妹で副部長ともなれば、「知らない」では通らない。