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組織の「縦割り」のため、情報の共有が進まない日本の対北情報機関の制度的な問題が遠因になったとも言えるのではないか。

新生海保の中枢を歩んだNのような人材であれば、対北情報が共有された環境の中で、海保独自の持ち味を活かせる情報活動に特化させれば、朝日新聞報道にあるような、国際社会を驚愕させる情報をもって貢献することも可能だったはずだ。

Nは、ムスダン搭載の多装輪車両については情報漏えいの疑いを晴らして、海保を去ったという。日本の対北情報の歪みが生み出した「堕ちたエリート」は、濃紺の制服を脱いだ時、何を思ったであろうか。(以上、海上保安庁編おわり)

(取材・文/ジャーナリスト 三城隆)
【連載】対北情報戦の内幕