連載・日本の対北朝鮮情報力を検証する/海上保安庁編(4)

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金正恩が国家元首に“即位”して権力を継承した2012年初頭、外事警察官は「厳重秘密」と押印された情報レポートを一読した。日本で活動する北朝鮮のスパイや、それを支援する朝鮮総連関係者の氏名、言動が詳細に記載されている。だが、外事警察官は、その“貴重な”情報に反応することなく、「また、N情報か」と蔑みの表情を浮かべ、レポートをシュレッダーに流し込んだ――。

外事警察官が“N情報”と蔑んだ情報レポートは、海上保安庁(以下、海保)の特殊部隊「SST」と、同庁の公安部門である「警備情報課」を生み出した幹部Nが自ら作成し、警察庁や公安調査庁、防衛省情報本部などの対北情報コミュニティーに配り歩いていたものだ。

だが、当時は海保を離れて外務省国際情報統括官組織に出向していたNが、息のかかった海保情報マン、いわゆる、「N機関」から集めた情報は、対北情報コミュニティーで活用されることはなかったという。

それは、なぜか。