連載・日本の対北朝鮮情報力を検証する/海上保安庁編(3)

時代がミレニアムまで残すところ10年となった頃、当時30代だった海上保安庁(海保)の若手幹部の両肩に、組織の野望とプライドがのしかかった。その幹部こそが、“海の公安”とも言える同庁警備情報課を作り上げた男、Nである。

彼に託されたのは、原発用のMOX燃料輸送船を警備する特殊部隊を創設するという、前代未聞のミッションだった。

「武装兵士の護衛を」

日本政府は1984年、プルサーマル発電に使用するMOX燃料をフランスから初めて輸送した。この際、プルトニウム型核兵器の原料にもなるMOX燃料がテロリストに奪取されることを恐れた米・仏海軍は、輸送船「晴新丸」に駆逐艦を随伴させて警備したと言われる。