11月5日、朴槿恵大統領の知人女性が国政に介入していたとされる「崔順実ゲート」に揺れる韓国で、大統領の退陣を求める大規模なデモ(集会)が行われた。

首都・ソウル市の中心部には主催者発表20万人、警察発表で4万5千人の市民が集結。数字の食い違いは大きいが、瞬間最大風速で10万人を超えていたことは確実だ。前週のソウルのデモと比べると5倍以上の動員となる。

また、釜山(プサン)や光州(クァンジュ)、世宗(セジョン)市など全国の主要都市でも同時多発的に市民が集まり、全国的に30万の動員があったと主催者側は発表した。人口の0.6%、日本でいうと80万人が集まった計算だ。

集会には野党3党(共に民主党、国民の党、正義党)の党首ならびに、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が参加。来年の大統領選の有力候補とされる、文在寅(ムン・ジェイン)元共に民主党代表、安哲秀(アン・チョルス)国民の党元代表らも顔をそろえた。

こうしたデモは、韓国の国政にどのような影響を与えるのか。

韓国では2週間前から「崔順実ゲート」のニュース一色であるが、玉石混交、甲論乙駁で、ニュースが消費されているきらいがある。

その一方、テレビやSNSで映し出される大集会の様子は社会各層への影響力が大きい。

韓国の有力NGOの活動家は、デモの現場で次のように話した。

A氏「今日、野党の党首がずらりと並んで、集会の様子を見ていったことは大きいと思う。野党が与党・セヌリ党を圧迫し、与党内の反朴槿恵派が同調すれば、下野という判断が現実的になる。12日に予定されている大規模集会の『民衆総蹶起(決起)』がカギになるだろう。この日、いかに多くの市民が集まり意思を表明するかによって、野党が腹を決め、セヌリに『政治日程』の協議を提案することになるだろう」

韓国では、大統領の退陣には二つの道筋がある。

一つは弾劾で、もう一つは辞任だ。弾劾は全300人の国会議員のうち、200人以上が賛成で可決される。現在、野党は171人であるため、セヌリ党議員の129人のうち29人が弾劾に賛成する必要がある。

国会での可決後、憲法裁判所で9人のうち6人の同意で成立する。ただ、一連の手続きには数か月かかり、保守政権下で任命された憲法裁判所の裁判官が同意するかも確実ではない。

一方、辞任の場合はすぐに受理される。

いずれの場合にも退陣後60日以内に次の大統領を決める選挙が行われる。

A氏の言う「政治日程の調整」とは、大統領辞任の日を与野党間で決め、そこから逆算して大統領選の準備をしていくという流れだ。

この日のデモは昼過ぎに始まり、午後9時頃まで続いた。しかし、ソウルは12月ともなると夜は氷点下になるため、長期にわたり大規模デモを続けるのは現実的ではない。

12日は民主共和国・韓国の歴史に新たな1ページを刻む日になるのだろうか。注目である。

(取材・文/ジャーナリスト 徐台教)

【現地ルポ】「朴槿恵退陣デモ」全国で30万人超…決戦は11月12日との見方

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