金正恩党委員長は第7回党大会の事業総和報告で「帝国主義思想文化は健全な精神を麻痺させ、社会主義の基礎を壊す危険な毒素」「わが国の内部に異色的な思想文化と変態的な生活様式が絶対に侵襲できないようにしなければならない」と強調している。薬物犯罪に対する体制の危機感を示したものと受け止められる部分だ。
北朝鮮は違法薬物、性、外国映像の視聴などを反国家犯罪とみなし、大々的に取り締まりを行っている。事件の裁判を保衛部の特別軍事裁判所が直接扱うなど、重罰化も進んでいる。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)しかし、日常生活に浸透した「資本主義型退廃犯罪」を撲滅するには至っていない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。