経済制裁で苦境に立たされてきた北朝鮮の国営貿易会社が、久々に活気を取り戻しつつある。ただし、その理由は水害復旧用の資材の横流しで儲けているからだと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

台風10号(ライオンロック)で甚大な被害をこうむった北朝鮮北東部。金正恩党委員長は、早期の復旧を命じた。現地の近況を平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は次のように語った。

横流しされる輸入物資

「当局は工事に10万人の人員を投入。水害復旧需要で、建築資材の輸入が増え続けている。生活必需品を輸入していた貿易会社も、資材の輸入事業をはじめた」

朝鮮人民軍総政治局系の「七星会社」、偵察総局系の「メボン会社」、人民武力部8総局に加え、地方の貿易会社も資材の輸入事業に参入。情報筋によると「資材を満載した北朝鮮ナンバーのトラックが毎日50台以上、中国の税関を通過している」という。

しかし、なぜかこれらの輸入された資材は水害被災地には運ばれない。卸売業者の手を経て、向かう先は全国の市場や建材商店だ。一体なぜか。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の別の情報筋は語る。

「当局は住民に『水害被災地に送る』という名目で、現金、生活必需品、資材などを差し出すように求めている。もちろん事実上の強制だ」

つまり、当局関連の企業が輸入した資材などの商品を、市場などで住民に買わせ、それを当局に供出させるという実に悪どい商売が行われているのだ。

競争意識を煽るため、人民班(町内会)では「誰が、何を、どれぐらい」差し出したかを公開している。

結局、そうしたプレッシャーに耐えられず、住民は市場で資材を購入し、当局に供出する。そして、シャベルなど工具や資材が値上がりし、庶民の負担が重くなるという悪循環が起こっている。

現場に存在しない資材

それにもかかわらず、不思議な現象が起こっている。

当局が輸入して住民に買わせて、さらに搾り取った資材や工具が、どうも被災地に送られていないようなのだ。

デイリーNK取材班が9月末に撮影した被災地の画像を見ると、資材や機材はほとんど見えない。単に輸送が遅れているだけなのか、それともさらに横流しされたのか現時点では不明だが、さらなる裏事情があるのかもしれない。

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