日本は、独自制裁によって北朝鮮産の食品が国内に出回ることはない。しかし、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の次男らが有罪判決を受けた北朝鮮産マツタケの不正輸入事件では、2010年9月に3トンのマツタケの取引が行われている。これらのマツタケが放射性物質の影響を受けていた可能性もある。流通量は微々たるものだが、放射性物質が引き起こす健康被害の深刻性を鑑みれば見過ごすことはできない。
自国だけでなく、隣国の中国や日本を含む海外にまで放射能汚染をまき散らしかねない北朝鮮の核実験は、安保問題以外のもう一つの脅威といえよう。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。