韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は19日、国会情報委員会の国政監査で、北朝鮮の金正恩党委員長が毎週3、4回ずつ夜通しのパーティー(酒宴)を開き、不摂生な生活と食習慣のために健康不安を抱えているとの分析を報告した。心血管疾患の高リスク群に入るという。

正恩氏の健康問題に関しては、国情院は7月の懸案報告でも、不眠症や身辺の脅威のために暴飲暴食に走り、成人病にかかっている可能性を指摘。とくに体重について、「2012年に初めて登場したときは90キロだったが、2014年には120キロに、そして最近では130キロまで増えたと推定される」と説明していた。

「喜び組」をはべらせ

もともと太目だった正恩氏の体型の変遷を検証すると、2013年8月あたりから本格的に太り始める。

この時期は、北朝鮮の芸術関係者に対して「ポルノ疑惑」がもたれ、粛清がはじまったころだ。この粛清の波は、2013年12月の張成沢氏の無慈悲な処刑で嵐となり北朝鮮国内で吹き荒れる。

金正恩氏が、粛清という刀を振り回し暴走しはじめた時期と、急激に肥満度が高まる時期が一致するのは偶然とは思えない。恐怖政治を激化させる中で、なんらかの猜疑心やストレス、プレッシャーにさいなまれたことが極度の肥満をもたらした可能性は充分にある。

一方、今回の国政監査で出てきた週3、4回もの「夜通しパーティー」の情報は新しいものだ。それ以前に、正恩氏がそこまで酒を好むという話も出ていなかったのではないか。

もっとも、正恩氏がパーティーを開いていること自体は知られていた。元NBAのスター、デニス・ロッドマンが訪朝した際には、名門学院から女学生たちをコンパニオンとして動員。彼女たちが陰で泣いていたとの話がある。

それにしても、週に3、4回というのは異常だ。父親の金正日総書記が、喜び組をはべらせた秘密パーティーを頻繁に開いていたのは有名だが、あれには幹部たちに意見をぶつけさせ、政策を調整する料亭政治のような側面もあったと聞く。

しかし、些細なことで幹部を処刑してしまう正恩氏に、料亭政治を主導する余裕があるのか。単に「パーティー癖」だけを父親から受け継いだのなら、正恩氏の健康も権力も、長くはもたないのではないか。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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