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北朝鮮では「首領の権威を命をかけて守らなければならない」「火災や水害の際には、肖像画をいの一番で守らなければならない」との教育がなされており、守りきれなかった場合には「人民の義務を捨てた」として処罰の対象となりうる。

この女性も、処罰を恐れて肖像画を守ろうとした可能性が高い。

そして悲しいことに、北朝鮮北部を今年も襲った水害においても、同様の出来事が起きてしまった。ある高級中学校(高校)の生徒ら13人が、肖像画を守ろうとして濁流に飲まれてしまったのだ。

(参考記事:北朝鮮の水害被災地で「将軍様の肖像画」守り高校生ら13人死亡

北朝鮮において、行政の怠慢による人災が、災害や大規模事故の被害を拡大させてきたことはこれまでも述べたとおりだ。

(参考記事:北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

「肖像画を守れ」と教え、人々を死に追いやることもまた、恐ろしい人災である。とくにこの問題は、災害や事故に備える技術的な努力では克服することができない。